北海道コンサドーレ札幌はサンフレッチェ広島に2点リードを追いつかれ、2-2で引き分けた。前半42分、DF福森晃斗(27)が直接FKで先制し、後半8分にCKからMF宮沢裕樹(31)の今季初得点で2点目を追加したが、その直後の5分間で2点を失い同点にされた。広島戦での敵地初勝利はするりとこぼれ、来季へ持ち越しとなった。

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2点を先行した札幌にとって魔の5分間となった。1-0の後半8分、左CKのキッカーは、先制点を挙げたDF福森。高速クロスにゴール前中央のMF宮沢がヘディングで押し込んだ。リードは2点。だがその直後、同9分に突破を許して1失点。同13分、ボールを奪われカウンターを食らい、追いつかれた。試合後、ミハイロ・ペトロビッチ監督(63)は「アマチュアチームのような、あってはならない失点をした」と、短時間での連続失点に厳しい表情を浮かべた。

3-4-2-1の布陣同士の対戦で、個と個のぶつかり合いだった。今季取り組むマンツーマン守備、ハイプレスは、1人がはがされるとピンチにつながる。この日の失点の場面もそのリスクに襲われた。また、よく言われる「2-0は危険なスコア」への危機感が足りなかった。指揮官も「クラブとしての成熟度が足りない証拠」とばっさり。来季こそJ1上位を狙うチームとして「選手たちにプロフェッショナルな厳しさを求めていく」と、メンタル面での課題を挙げた。

ベンチでは背番号18と27のユニホームも一緒に戦った。MFチャナティップと荒野。今季終了を待たずケガで離脱した主力の彼らのためにも、残りの仲間が戦う。前日練習中に臀部(でんぶ)付近を痛めたとみられる2戦連発のFWジェイに代わって、急きょFWドウグラス・オリヴェイラが遠征メンバー入りして先発に起用されるなど、ドタバタもあった。万全とは言えなかったチーム状況で、勝ち点1を過去未勝利のアウェー広島で死守したことは評価できる。宮沢は「逆転されなかったのはキーパー中心に粘り強く守ったから」と話した。

次節C大阪戦は今季最後のホーム。「勝ちを届けられるようにしっかり準備したい」と宮沢。今ある力を尽くし、来季への希望を抱く90分をサポーターに届ける。【保坂果那】