全国高校サッカー選手権前年度準Vの青森山田は、2大会ぶり王座奪還へ“全集中”する。センターバック(CB)で「守備柱」のDF藤原優大主将はJ1浦和レッズ、左サイドバックのDFタビナス・ポール・ビスマルク(ともに3年)はJ3いわてグルージャ盛岡と2人がJクラブ加入内定。ダブルエースが「攻撃柱」を担い、MF松木玖生(くりゅう、2年)は前回大会で5試合4得点、MF安斎颯馬(3年)は今季主戦場のスーパープリンスリーグ東北で6試合14得点とゴールへの嗅覚は抜群だ。全国の難敵撃破へ“山田の刃”で雪辱を期す。

   ◇   ◇   ◇

青森山田は日本一へ心を燃やす。昨季は強豪校とJクラブ下部組織が「真のNO・1」を争う高校年代最高峰のプレミアリーグで優勝。その勢いで臨んだ選手権は00、01年度の国見(長崎)以来の連覇を狙った。ところが、決勝の静岡学園戦では藤原が先制ゴールを決めて2点先行も、一瞬の隙を突かれ2-3で逆転負け。あと1歩で戴冠を逃す「埼玉スタジアムの悪夢」で幕を閉じただけに、今大会に懸ける思いはどこよりも強い。

藤原は前回大会の全5試合をCBで先発フル出場。3失点した決勝の残像は今なお残り「あのときの悔しさは今でも忘れないし、あの屈辱を心の中に入れながら1年間やってきた」。200人超の部員が競い合い、チーム力を底上げ。11月の青森大会では00年から続く県内公式戦連勝を「366」に伸ばし、24年連続26度目出場を決めた。「決勝の舞台に行くまでは相当厳しい道のりになると思うが、絶対にあの舞台に戻りたい」。埼スタは決勝の地であり浦和本拠地。高校最終戦は絶対に負けられない。

17年の青森山田中3年時には主将を務め、MFで背番号「10」を背負い、全国中学サッカー優勝を経験した。高校入学後は主にボランチで1年時から選手権全5試合に途中出場し1得点。全国制覇メンバーに名を連ねた藤原だが、大会直後に転機が訪れた。黒田剛監督(50)は以前からCBで育成する構想を抱き、1学年上のDFが不足していた事情も重なり、守備の柱にコンバート。キャプテンシー、対人守備、ヘディング、両足キックと多彩な武器を持つ世代屈指のCBに成長し、指揮官は「今は弱点がないぐらいパーフェクトな選手」と太鼓判を押す。

初戦は来年1月2日に広島皆実と戦う。藤原は「王座奪還を目標に1年やってきたが、まずは初戦に勝つこともそうですし、コツコツ1試合1試合に集中して戦う」。浦和加入内定で「対峙(たいじ)するFWや相手チームは来年からプロになる選手と見てくる。『こんなものか』と思われたら終わり。隙を与えずに全て抑える気持ちでやっていく」。青森山田は鬼のような強さで日本一という終着駅を目指す。【山田愛斗】