神奈川県社会人リーグ2部の鎌倉インターナショナルFC(鎌倉インテル)が10日、鎌倉商工会議所で会見を開き、同市では初となる市民利用可能な人工芝グラウンドを建設すると発表した。

「鎌倉みんなのスタジアム #鎌倉みんスタ」プロジェクトと銘打ち、建設費の一部をまかなうためのクラウドファンディングを開始する。期間は、この日午後11時59分から来年2月23日午後11次時59分まで。

18年1月の発足後、トップチームの練習場の確保すら、時には100倍超の予約競争に巻き込まれていたという鎌倉市に、完全民間の自前でグラウンドを建設する計画。裾野拡大のため市民にも広く開放する。年間で約5万人の来場を見込んでおり、クラウドファンディングは「芝生ピッチオーナー」として1平米1口3万円から募集する。観戦スタンドの広告看板やグラウンドのネーミングライツもあり、優待利用など支援項目に応じたリターン特典が付く。

シンガポールからリモート参加した四方健太郎オーナーは「グラウンド建設は悲願。行政や大企業に頼らない挑戦だが、どうせ無理だよ、と思われる中でチャレンジする姿勢を見せて、世の中に勇気を与えられれば。1口3万円は熊本城の1口城主から着想を得たもの。決して安くはないが、グループや連名でも可能なので、ご支援いただきたい」と協力を求めた。

建設場所は、鎌倉市役所の本庁舎移転やJR東海道線の新駅構想など、今後の開発が見込まれている市の深沢地区。事業主は鎌倉スポーツコミッションで、堀米剛理事は「最速で来年2月下旬に着工し、4月中旬にオープンというスケジュール感」と説明した。総工費は約1億円のうち3000万円をクラウドファンディングの目標金額だ。

明大やJ3グルージャ盛岡の監督を歴任した神川明彦氏も、地元出身で現在も在住の賛同者として出席。鎌倉高から進んだ明大を卒業後、日本代表DFの長友佑都や室屋成ら50人を超えるJリーガーを育てた名指導者になった。現在は、鎌倉インテルにアドバイザー兼ジュニアスーパーサッカースクールヘッドコーチ。故郷の発展を願い、現場でも貢献し、激励する立場で「サッカー不毛の地だったことを身をもって知る鎌倉でワクワクするプロジェクトが始まり、賛同できることをうれしく思う」と、地元の期待の高さを代弁する場面もあった。

将来的なJリーグ参入を目指しており、今季は県2部Bで大逆転優勝。今月20日の県1部昇格決定戦でFCグラシア相模原と対戦する。武田航平監督が「しっかり勝ち抜いて1部に昇格したい」と言えば、創設当初から携わる地元選手のFW藤田航規も「子供のころから鎌倉は土のグラウンドしかなかった。感慨深い。ホームグロウンプレーヤーとして今後、Jリーグに加入できるようなチームにしていきたい」。この人工芝プロジェクトが夢へのキックオフとなる。【木下淳】

クラウドファンディングの詳細は以下ページで。

https://kamakura-inter.com/our-stadium-kamakura-201210/