前年度準優勝で2大会ぶり日本一を狙う青森山田は、ライバルとして刺激し合うダブルエースのアベック弾で初戦を突破した。

後半に試合を動かし、08年度優勝の広島皆実に2-0で快勝。同5分、背番号「10」のMF松木玖生(くりゅう、2年)が先制すると、同10分にはMF安斎颯馬(3年)が追加点を奪い、危なげなく3回戦進出を決めた。

   ◇   ◇   ◇

均衡を破ったのはエース松木だった。右サイドバックのDF内田陽介(3年)が浮き球のパスに抜け出すと、完璧なトラップから中央へ折り返し。最後は2年生10番が、倒れ込みながら左足で低い弾道のシュートを突き刺した。「試合が始まる前に(黒田)監督から『(ボールを)ふかさないように枠を狙ってシュートを打て』と言われていたので、冷静に打つことができました」。前半は広島皆実が6バックで守備を固めるなど、攻撃で手を焼いたが、後半開始早々にこじ開けた。

もう1人のエースも続いた。先制弾の5分後、安斎は力強いドリブルで右サイドを突破し、ペナルティーエリア内に侵入。2度の切り返しで2人をかわすと、右足で豪快にサイドネットに蹴り込み、貴重な追加点をもたらした。黒田剛監督(50)は松木と安斎が決めた後半の2得点について「(松木は)性格的に勝ち気で『ここで俺がやってやろう』という気持ちが強く、ゲームであまり機能していなかったが、ここ一番でコースに蹴れるのはさすが。2つ目の安斎も素晴らしい。2点をポンポンと決めることができて、気持ち良くゲームを進められて良かった」と評価した。

松木は前回大会で1年生ながら全5試合に出場し、チームトップの4得点。2年目でさらなる活躍が期待されるが「特に個人的な目標はなく、チームに貢献することを一番意識していて、自分のゴールが勝利につながれば光栄です」。ちょうど1年前、昨年1月2日の初戦でも先制点を決め、決勝進出への道筋をつけた。青森山田はダブルエースのアベック弾を号砲に、王座奪還への険しい道を1歩1歩歩んでいく。【山田愛斗】