FC東京が柏レイソルを2-1で下し、前身のナビスコ杯09年大会以来、3度目の優勝を飾った。決勝は当初11月に予定も、柏で新型コロナウイルスの集団感染があり延期。異例の年明け開催となった。18年の長谷川健太監督(55)就任から初のタイトル。コロナ禍の中、リーグ戦、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を含め、過密日程をこなした。負傷者続出の厳しいシーズンだったが最後で栄冠をつかみとった。先制点を奪ったMFレアンドロ(27)が最優秀選手に輝いた。

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長谷川健太監督(55)は、就任3年目でチームを戦う集団に育て上げた。選手に伝え続けた言葉は「悔しさがチームを強くする」。昨季はリーグ制覇に迫りながら、最終節で横浜に目の前で優勝をさらわれた。この日の試合後「(優勝を)見せつけられたことが大きな悔しさだった。それがあって今季がある」と、チームにとって必要な屈辱だったことを振り返った。

就任後、初練習から叱咤(しった)をとばした。不用意にガムをかむ、ソックスをだらしなく下げる。見過ごされている緩みが、万年中位とやゆされるもろさにつながっていると厳しく指摘。「サッカーをやるうえで本質的な、勝ちたい気持ちが足りない」と口酸っぱく毎日のように言った。この日、オルンガと激突し、肩を痛めながらもフル出場したDF渡辺は「腕がもげてでもやると決めていた」と話した。

コロナ禍の特別な1年。開幕戦後のリーグ中断中には、1人で味スタまで自転車を走らせた。静まりかえったスタジアムを見ながら「早く再開してくれ」と祈った。他地域よりも遅く5月に練習が解禁されると「緑のピッチの上でサッカーができて幸せ」と、感じ入るように言った。能力がありながらくすぶっていた集団の先頭に強きリーダーが立ち、万年中位だった東京はタイトル争いの常連に進化しつつある。