19年シーズンまで、J1ベガルタ仙台の監督を6季務め、J2レノファ山口の監督に就任した渡辺晋氏(47)が8日、就任会見を行った。

昨季、J2で最下位に沈んだチームの再建を託された指揮官は「レノファ山口には明確なビジョンがある。そこに強く引かれた。社長、GMと話をする中で、クラブの方向性、ビジョン、熱い情熱を強く感じ、このオファーを引き受けないわけにはいかないと思った」と就任に至った経緯を説明。目標について聞かれると、「2年かけてJ1に昇格したい。それが最大の目標。そのために、今季は我々の本気度を示し、サポーターに、その可能性を感じ取ってもらいたい。残留争いをしているようでは可能性は感じない。しかるべき順位が必要」と強い口調で思いを語った。

渡辺氏は、DFだった現役時代を含め、仙台に19年間在籍。当時J2だった04年に現役を引退し、下部組織の指導者をへて08年にトップチームコーチに就任した。ヘッドコーチ時代の14年には、グラハム・アーノルド監督(当時)の成績不振による解任を受けてクラブ史上初のOB監督となり、降格危機にあったチームを救った。

その後は、前任の手倉森誠氏に並ぶ最長タイの6年間チームを率い、タイトル獲得こそならなかったが、在任中はJ1に定着。17年にはルヴァン杯ベスト4、18年度には天皇杯準優勝に導くなど、限りある戦力を適材適所で生かす手腕で、ファンからも愛された。

山口は昨季、9勝6分け27敗の勝ち点33で最下位。渡辺監督は「失点の多さ」を課題にあげ、「約束できるのは、勝利を追い求めて、諦めることなく90分間走り続けること。投げ出す姿はあってはならない。なるべく高い位置でボールを奪って、なるべく長い時間敵陣で戦う。そういうレノファのサッカーを見せていきたい」と目指すスタイルを語った。

国内屈指の戦術家を迎え、山口が悲願のJ1初昇格を目指す。