サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)は、14日に2021年シーズンが幕を開ける。かつてJ1C大阪、J2京都を率いた経験のある西村昭宏監督(62)が指揮を執る高知ユナイテッドSCは、14日にヴェルスパ大分とアウェーで対戦する。日刊スポーツでは今日から3回、WEB連載として、仕事とサッカーを両立しながらJリーグ入りを目指す選手を紹介する。第1回は幼稚園に勤務するMF青木捷(しょう、27)です。

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JFLの高知で中盤を支える27歳は、別の顔を持っている。昨季、豊富な運動量で、攻守両面で活躍したMF青木は、16年にJ3藤枝に加入。プロとしての人生をスタートさせた。だが、出場機会に恵まれず、17年に関西リーグ1部(5部相当)のアミティエSC京都(現おこしやす京都AC)に移籍。20年から高知に移った。生活の糧のアルバイトは、高知市に隣接する南国市の幼稚園。先生として奮闘中だ。

「『しょう先生』って呼ばれています。子供たちの笑顔を見ていると、疲れていても頑張ろうと思えます」

朝6時半に起床。練習の1時間前の8時には高知市内の練習場に向かう。昼頃まで練習した後に、午後2時から6時までは幼稚園で勤務する。基本業務は担任の先生の補助と部屋の掃除。重い荷物を運んだり、子供たちが描いた絵に名前を貼るのも業務の一環だ。子供と遊ぶときは、園側から「サッカー選手のすごいところを見せてくれ」と要望があり、かけっこをするときでも常に全力疾走だ。

「ダントツで勝つと『すごい!』と言われて、喜んでくれるので楽しいですよ。でも、意外と大人のすることを見ている。姿勢だったり、座った椅子をちゃんとしまうことを教えているので、自分も見られていると思うと、見本になれるように努力してます」

チームは昨季、JFL昇格初年度で、14位だった。仕事との両立で、完全な休養日は週1回程度。体はきつくても目標を追い続ける。

「もう1度Jリーガーになりたい。しっかり準備して結果を出して、(藤枝での)悔しい気持ちにリベンジしたい。試合に勝って、次の日に出勤すると、結果を知っている子がいる。親から聞いて、気にかけてくれている。子供たちのためにも結果を出すのが一番。頑張りたい」

自身も幼稚園児だった3歳のときにサッカーと出会った。目指すはかっこいい「しょう先生」。

夢をかなえる姿を、子供たちに見せる。【南谷竜則】