アルビレックス新潟は今季初出場のFW矢村健(23)が決勝点を挙げ、ツエーゲン金沢を1-0で下し、2連勝。「開幕8戦無敗」のクラブ新記録をホームで達成した。負傷のMFロメロ・フランク(33)に代わり、後半20分からピッチに入った矢村はMF本間至恩(20)からのラストパスを冷静にゴールに流し込んだ。チームは勝ち点を22に伸ばし、首位をキープ。次節は中3日でアウェー栃木戦(21日)に臨む。

    ◇    ◇    ◇

今季初出場の矢村が大仕事をやってのけた。後半32分、中盤でボールを奪った本間からのスルーパスをペナルティーエリア右で受けると、飛び出してきたGKの脇を抜く右足シュートを冷静に流し込んだ。「9割、(本間)至恩の得点。ファーストタッチをいい位置に置くことに集中した」。ゴール後は、スタンドに向かい敬礼ポーズ。「(田中)達也さんと息子さんと約束したポーズ。今後も増やしていきたい」。約束を決勝ゴールという最高の形で果たし「これでひと安心できる」。

負傷のロメロに代わり、後半20分からピッチに立った。右MFの位置からスコアレスと膠着(こうちゃく)状態が続いたゲームを動かした。「ベンチメンバーから『思いっきりやって来い』と声を掛けられ、クリアな状態でピッチに立てた」。運動量とスピードを武器に激しく上下動を繰り返し、鋭いクロスでも好機を演出した。FW登録の矢村をサイドで起用したアルベルト監督(53)は「サイドで彼は輝く。期待した働きをしてくれた」と、得点後は優しくヒーローを抱きしめ、祝福した。

この日の決勝点にはさまざまな思いが込められていた。3月中旬の練習中に右足首を痛めて戦線離脱し、全体練習合流は今月に入ってから。その間チームは絶好調で、試合に絡めない焦りはあった。それでも「戻った時に勝利に貢献できるように」と自分に言い聞かせ、コンディション調整に全力を注いだ。今季ここまで出場のない選手の思いも込めた。「励ましの声が力になった。自分を含め、主力外選手の底上げが必要。これに満足せず、気持ちを切り替えて練習に臨みたい」。

開幕8戦無敗に導いた矢村は「今日の勝利は自分の力でなく、チームが一体感を示した証拠。今後も全員で目の前の試合に全力で臨むだけ。次も勝ちを目指す」と中3日で迎える次節、栃木戦へ向け、気持ちを切り替えた。【小林忠】

○…今年3月末に現役引退を発表した元新潟のMF端山豪氏(28)が試合前、サポーターの前であいさつ。「これまでたくさんの応援ありがとうございました。これからはサポーターとして新潟を応援します」と話すとスタンドから大拍手が贈られた。

◆開幕連続試合不敗記録 J2新潟は開幕から7勝1分けの8戦負けなし。延長Vゴールがあった時代の99年に記録した開幕7戦連続(7連勝)を抜いてクラブ新記録となった。J2の開幕連続不敗記録は10年の柏で19戦連続(13勝6分け)。開幕からに限らなければ、03年の16~29節にマークした14戦連続(9勝5分け)がクラブの連続試合不敗記録となっている。