ヴィッセル神戸のGK飯倉大樹(34)が、ついに帰ってきた。28日に行われたルヴァン杯1次リーグB組の大分トリニータ戦(ノエスタ)で今季、公式戦初出場を果たした。試合は0-0のドローだった。

「自分の持ち味であるポゼッションというのは、できたかなと思う。僕のプレーというよりも、選手みんながハードワークをしたからこそ、それぞれの課題も見えた試合だったと思う」

浴びたシュートこそ6本と少なかったが、守備陣との連係は最後まで安定していた。

飯倉が最後に公式戦に出場したのは昨年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で、約5カ月ぶりの復帰になった。今季のJ1リーグ戦は開幕から11戦、日本代表にも初選出された前川黛也(26)がすべて出場している。

昨季途中から前川の出番が多くなったとはいえ、19年シーズンは飯倉の活躍なしでは天皇杯初優勝もなかったといえるほど、ベテランの実力を示していた。

それが今季、まったく出番がなかったのは、故障が原因だった。シーズン当初からチームを離脱していたという。

本人によると「けがは公にしていないが、立て続けにあった。まあ、打撲のひどい感じ。右足に血がたまって(完治まで)時間がかかってしまうような状態だった」。

19年7月に横浜Fマリノスから完全移籍し、J1通算255試合出場を誇る。ミスを恐れず、果敢に飛びだし、足技で攻撃の起点になる。6月で35歳になるベテランは、抜群のシュートストップで失点阻止を実現してきた。

今後については、冷静に前を見る。

「今、チームとして昨年より失点は明らかに減っているし、いろいろな選手がいて、それぞれのプレースタイルがある。目指す方向は監督が決めるので、その中で僕がチョイスに入れば頑張るし、入らなかったら(仲間を)サポートする。自分のストロングの部分は理解しているし、それをチームに還元できればと思っている。今のやり方、戦い方のところで言うなら(前川)黛也の方がフィットしているのかなと思うけど、いつチャンスがくるか分からないし、よい準備はしたいですね」

前川の努力や急成長、世代交代が進むチームへ配慮したコメントだが、今季も過密日程が続く中で飯倉の力は、まだまだ必要なはずだ。同じく故障離脱している田中順也(33)とドウグラス(33)の両FWも必死に状態を上げているという。故障明けで復帰秒読みの主将MFアンドレス・イニエスタ(36)を含めて、神戸の戦力が充実するのはこれからだ。【横田和幸】