“10年に1度”のスーパーゴールを3日前にたたき込んでいる大卒ルーキーが、ベガルタ仙台に4試合ぶり勝利をもたらした。1-1の後半30分、途中出場のMF加藤千尋(22)がヘディングで決勝ゴールを決め、公式戦2戦連発。残留を争うライバル大分トリニータを2-1で下す原動力になった。順位は大分と入れ替わり、19位から17位に浮上。残留圏内の16位と勝ち点2差に迫り、降格圏脱出も見えてきた。

   ◇   ◇   ◇

チヒロが仙台を救うヒーローに変身した。同点の後半30分、右サイドでDF吉野、DF真瀬、MF富田と流れるようなパス交換。ゴール前の加藤が、富田の右クロスを打点の高いヘッドで押し込んだ。「右サイドをうまく崩し、(赤崎)秀平君がニアに相手を引きつけてくれてスペースが空いた。タイミングを合わせて打ったが、GKの真っ正面で外れたと思った。勢いもあったので、入ってくれて良かった」。投入わずか10分で、5045人の観客に自らの存在を示した。

1年目ながら加藤は、開幕戦を除くリーグ14試合に出場して2得点。ルヴァン杯6試合2得点も含めると今季公式戦20戦で、チームトップの計4ゴールと奮闘中だ。手倉森誠監督(53)からは常々、「チームを勝たせる選手になれ」と声をかけられており、この試合では決勝点を挙げ、指揮官の期待どおりにチームに勝ち点3を呼び込んだ。

3-0で勝利した19日のルヴァン杯広島戦では、スーパーゴールで注目を浴びた。スローインを受けると、振り向きざまに右足で強烈なシュート。ボールはゴールポスト内側を直撃しながらネットに吸い込まれた。仙台、広島などで活躍し、同試合のテレビ解説をしていた佐藤寿人氏は「10年に1度ぐらいの素晴らしいゴール。世界に配信されるゴールの1つです」と舌を巻くほど強烈なインパクトを残した。

大分戦はエースFW西村が前半5分に先制点となる今季3点目。新戦力のブラジル人FWフェリペ・カルドーゾが後半31分からデビューするなど、攻撃陣に明るい話題は多い。加藤は「結果を残し続けないと生き残れない世界なので、結果にこだわってやっていきたい」。背番号「26」が“勝たせる選手”になり、仙台を上昇気流に乗せる。【山田愛斗】