川崎フロンターレは東京オリンピック(五輪)世代、U-24日本代表MF田中碧(22)の全得点に絡む活躍で、横浜FCに3-1と勝利した。同代表のMF三笘薫(24)は4戦連続ゴール。チームは昨季から続く連続無敗記録を23試合に伸ばし、鬼木達監督(47)はJ1最速100勝に王手をかけた。

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3得点全てで田中の技術が光った。前半19分のPK獲得の場面は、田中のスルーパスを起点に三笘が突破を図ったもの。続く28分には、ゴール前で相手DFに囲まれながら、一瞬のターンで切り抜けてわずかなコースを射抜き、今季初ゴールを決めた。三笘の3点目のシーンは、相手DFの裏に走る日本代表DF山根にピタリと合わせる浮き球パスで、アシストを“アシスト”した。「イメージするタイミングで、イメージするボールを蹴られた」と、納得の1本だった。

サッカーの基礎「止める、蹴る」を重視する川崎F下部組織で育った。その技術は、Jリーグ最強の技巧派集団においても一級品で、セットプレーのキッカーも務めている。視野も広く、この日は何度もスルーパスで好機をつくった。今季は守備の強度も格段に上がっており、ボールを失った瞬間に切り替えてプレスに走る姿には、スタンドから拍手が送られた。

しかし、試合後の田中は反省が目立った。3得点した後はチームの勢いがうせ、失点後も攻め込まれる場面が多かった。「点を取ったことも、勝ったこともどうでもいい。それ以上に、後半の自分の質の低さにガッカリしている」、「技術ミスが多かった。そこで勝負している。他の選手と同じレベルではダメ」と、自らに厳しく要求した。

東京五輪のオーバーエージは、同じボランチのMF遠藤(シュツットガルト)が当確の状況。3月のアルゼンチン戦で出色の活躍を見せた田中も、最終メンバー入りをかけた争いの最中にいる。合流前の残り2試合で、自らの価値を証明していく。【杉山理紗】

◆三笘薫(みとま・かおる)1997年(平9)5月20日生まれ、川崎市出身。東京Vスクール、さぎぬまSCを経て、川崎F・U-10入り。トップ昇格を断って筑波大に進学し、卒業後20年に川崎F入り。同年13得点12アシストで優勝に貢献して、最多得票でベストイレブンに。178センチ、71キロ。

◆田中碧(たなか・あお)1998年(平10)9月10日生まれ、川崎市出身。さぎぬまSCから川崎F・U-10に入り。トップ昇格2年目の18年にプロデビュー。19年ベストヤングプレーヤー賞を受賞。20年はベストイレブンに。180センチ、74キロ。