コンサドーレ札幌は横浜と1-1で引き分けた。前半26分、MF青木亮太(25)が先制ゴールを決めた後、同ロスタイム2分に同点に追いつかれたが、後半は踏ん張り逆転を許さなかった。3選手が負傷交代するアクシデントの中、昨季準々決勝で敗れた相手とドロー。プレーオフ(PO)突破をかけて13日のアウェー戦に挑む。

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試合終了の瞬間、札幌の選手がそろって両膝に手をつき、頭を下げた。肩で息をする。ペトロビッチ監督(63)は「最後までよく走り、戦う中、1-1のスコアで終わることが出来た」と、引き分けにも悔しそうな表情は浮かべなかった。ピッチに立つ選手全員が力を出し切って、ピンチに屈せず負けなかったからだ。

アクシデントが続いた。前半32分、MF深井が左膝を痛め、ベンチで見守っていたFW菅が急きょ投入された。後半14分にはピッチに座り込んだFW小柏が左太もも付近を押さえながら担架で運ばれた。同17分、味方と接触して前歯2本が折れたDF福森はタオルで口元を隠しながら痛そうな表情でピッチを退いた。約30分を残して3回の交代を使い切り、MF駒井、青木、金子は足をつりながらプレーを続けた。苦しい状況も何とか乗り切った。

昨年7月26日のリーグ横浜戦(札幌ドーム、3○1)の再現を狙った。同戦と同じく、MF荒野を最前線に起用した。FWロペス、ジェイ、MFチャナティップと、前線の選手が別メニュー調整中のチーム事情もあったが、運動量が持ち味の荒野が自在に上下動することで相手を揺さぶった。悔やまれるのは、前半42分にFW菅が倒されたことで獲得したPKを得点に出来なかったこと。荒野がキッカーを務めたが、相手GKにはじかれ「ナイスキーパーだった」と素直に相手をたたえた。

先制弾の青木は5月5日1次リーグ鳥栖戦(2○1)以来の同杯2得点目。左ウイングバックで先発起用され、存在感を見せている。アウェーでの次戦で勝つか2得点以上でのドローで、準々決勝進出が決定する。離脱者を抱えるからこそ「チーム全体で1つになって戦わないと」と青木。この日、押していたのは札幌だった。逃した勝利を次こそつかみ取り、試合後、笑い合う。【保坂果那】