「Welcome to Kyoto」と英語で訳されるチームが、サッカー界の台風の目となる。おこしやす京都が25日、京都市内で練習を行った。

16日天皇杯2回戦で京都府代表おこしやす京都が、J1リーグ3度の優勝経験を持つ広島に5-1で圧勝。社会人チームがJ1チーム相手に5得点は史上初。歴史的ジャイアントキリングを巻き起こした。ジャイアントキラーとなったおこしやす京都とは一体どんなチームなのか。

所属メンバーは23人。現在プロ契約を交わしているのはごくわずか。ほぼ全員がサッカー以外に仕事を行う。選手は「この環境が強くしてくれた」と口をそろえた。

広島戦で2得点を決めたMF高橋康平(29)は大学卒業後FC今治と契約したが、伸び悩んだ。契約満了をきっかけに地元クラブに加入。当時、自信がなかった高橋に「笑顔でやろう」とスタッフが声をかけた。メニューをこなすにつれ、サッカーの面白さを再認識。課題のメンタル面も克服した。「サッカーの楽しさをおこしやす京都がまた教えてくれた」。自分のプレースタイルも強気になり「今が1番サッカーが楽しいです」と強く語った。

主将清水良平(30)は9年目の大黒柱。午後は子供にサッカーを教える。指導で伝える事の難しさに直面。子供ならではの「なんで?」に対しては、シンプルに伝える努力をしてきた。この9年間の積み重ねが、清水の伝える力に磨きをかけた。広島戦でも集中を切らさず、積極的に声をかけ結束力を固めた。「プレー面だけでなく、人間性も成長させてくれた。感謝しかない」と話す。

初の3回戦突破を目指し、7月7日にJFLのヴェルスパ大分(昭和電工ドーム)と対戦する。清水は「挑戦者というのは変わらない」。京都の新たなヒーローになる予感のおこしやす京都にこれからも目が離せない。【三宅ひとみ】

◆おこしやす京都 02年に子供向けスポーツスクール「アミティエ・スポーツクラブ」が設立され、05年にスクールの指導者が中心となって同名の社会人チームを発足させた。06年に京都府4部リーグ参入し、12年に関西サッカーリーグ1部で優勝。18年にクラブ名を「おこしやす京都AC」に変更。19年にはクラブ史上最高成績を残す(関西リーグ1部無敗優勝、全国社会人サッカー選手権大会準優勝、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ3位)。