J2降格危機の大分トリニータは名古屋グランパスにアウェーで0-1の完封負けで、19位からの浮上に失敗した。大分は今季5勝中、敵地では1勝のみ。またしても鬼門の敵地で敗れ、残留圏の16位湘南ベルマーレとの勝ち点6差も縮めることができなかった。

負けられない名古屋戦へ、片野坂監督は特に課題の攻撃に関して「思いきり大胆にチャレンジさせることを求める」と言い、大胆策を講じる覚悟だった。実際、この日は通常1トップの長身FW長沢をシャドー起用。攻撃の活性化を図った。だが、J1で2番目に失点が少ない名古屋の堅守を崩すのは容易ではなく、長沢は「名古屋は実際守備が堅かった。だが、そこをこじ開けていかないと残留は遠い」と危機感を抱いた点差以上の完敗。前半8分、GK高木のパスミスから連続攻撃を受け決勝点を献上したのも痛かった。

大分は成績低迷打開のため、8月9日川崎F戦からシステムを大きく方向転換させている。片野坂監督が就任してJ1では3年目。これまでビルドアップから攻撃を組み立てる独特の戦法を積み上げ、残留を続けてきた。

しかし、ここに来てハイプレスでボールを奪い、全員が連動するショートカウンターなど「速い縦の攻撃」に変更。「勝つため」に勝負に出た。それでも決定力不足は深刻で、J1ワースト20得点からの脱却はほど遠い。前節の18日サガン鳥栖戦はシュート1本でスコアレスドロー。名古屋戦のシュート7本も空砲に終わった。

指揮官は「まだまだ我々は死んでいない。選手は次のゲームで、今日以上のパワーを出してプレーしてくれると信じている」と前を向く。だが残りはわずか8試合。まずは次の10月3日ホームC大阪戦に必勝の覚悟で挑むしかない。【菊川光一】