北越は新潟明訓を1-0で破り、8強入りを決めた。互いに全国大会、プロ選手を輩出する強豪校対決は12大会ぶり全国選手権出場を狙う北越に軍配が上がった。スコアレスで迎えた延長前半9分、MF堀野辺空(2年)がゴール前の混戦から右足を豪快に振り抜き、決勝点を奪った。最終盤は相手の猛攻を受けたが、体を張った守備で逃げ切った。準々決勝(30日)は開志国際と対戦する。

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無心でシュートを蹴った。0-0の延長前半9分、堀野辺は右サイドをえぐったDF鈴木洸聖(3年)の隣を並走しながら息を沈めた。「(ボールが)来るとは思わなかったが、いい位置に入れた」。鈴木のドリブルがゴールエリア内で流れたところを右足でズドン。豪快な一撃をネット正面上に突き刺し、雄たけびを上げた。「たぶん、今年の公式戦初得点。何も覚えてない」と久しぶりの感覚を喜んだ。

堀野辺は先発フル出場した。足元の技術と豊富な運動量を武器に両サイドから攻撃を仕掛けた。神奈川県出身で小学生時代に通ったサッカースクールで指導を受けた荒瀬陽介監督(32)が北越監督に就任したこともあった。「インターハイ(19年=3回戦)で北越が青森山田に勝った記事を見て(進学を)決めた。ここで結果を出す」と全国選手権に懸ける気持ちは強い。

強豪校対決は意地がぶつかり合った。縦に速いサッカーを展開する新潟明訓に対し、北越はサイド攻撃や最終ラインからのロングボールで揺さぶった。5月のプリンスリーグ北信越(第5節)で0-1で敗れた相手に対し、最後まで攻め続けての勝利。荒瀬監督は「ここがヤマ場だと思っていた。ただ、何も成し遂げていない。次が大事。いい準備をしたい」。

決勝点を挙げた堀野辺も思いは同じ。「ここは通過点。東京V(ジュニアユース)の同級生、帝京長岡の桑原航太を決勝で倒すため絶対に勝ち上がりたい」と目をギラつかせた。【小林忠】