初の決勝進出を果たした名古屋グランパスが、セレッソ大阪を下して初優勝を飾った。名古屋のタイトル獲得は、ストイコビッチ監督の指揮下でリーグ制覇した10年度以来11年ぶり。2度の天皇杯優勝を含め、4つめのタイトルとなる。

同じカードで天皇杯準々決勝を戦い、名古屋はC大阪に0-3と完敗していた。中2日での“再戦”。マッシモ・フィッカデンティ監督(53)は前日会見で、「大変な日程の中で犠牲を払ってやってきた。お互いにメンバーを変えてくるかもしれないが出せるものをすべて出す。そういう形で選手を送り出したい」と話していた。

名古屋は前回対戦から先発メンバーは3人を入れ替えただけの“微調整”で臨んだ。シーズンを通じて戦ってきたメンバーを自信を持って送り出した。0-0の後半2分にFW前田がCKから頭でねじ込む先制ゴール。その後、C大阪の猛攻を受けたが、これをしのぐと後半34分にはMF稲垣が2点目を決めた。ピッチに立った選手が指揮官の期待に見事に応えた。

フィッカデンティ監督は18年度のシーズン途中に就任した。チームはJ2降格危機にあったが、そこから立て直し、昨季はリーグ3位、そして今季もすべてのタイトル争いで可能性を残してきた。

イタリア人監督は守備の再建を最優先に進めてきた。今季、リーグ戦のここまで19試合0封は記録。シーズン序盤に主将のDF丸山が大けがで離脱するなど、厳しい状況にも巧みなやりくりでタイトルを引き寄せた。

「(19年度は)残留が目標だった。下位を争うのか。そんなチームではない」。確固たる信念の下、チームを作り上げ、11年ぶりのタイトルを手にした。

先制ゴールのFW前田「素直にうれしいです。耐えて耐えて早い時間帯に点を取ることができた。自分はヘディングであまり点を取ったことがないが、気持ちで押し込んだ。自分にとっても大きなゴールです」

2点目のMF稲垣「ここ2週間。ACLから絶望に近い状況だったが、苦しい中でチーム一枚岩でやってきた結果を共有できてうれしい」