J2首位を走るジュビロ磐田のJ1復帰が決まった。

14日、水戸ホーリーホックを下し、今季3試合を残してJ1自動昇格圏内の2位以内が確定した。昨年10月に鈴木政一監督(66)が就任。02年のJ1で第1、第2ステージを制して「完全優勝」に導いた名将がチームを再建した。

16年ぶりに磐田の指揮を任された鈴木監督には明確なビジョンがあった。「昇格は最優先」とした上で、J1で戦えるチームの土台を作った。着手したのは攻守両面でのレベルアップ。守備は切り替えの速さを徹底し、ハイプレスとブロック形成を試合状況と時間帯で使い分けることを整理させた。開幕連敗スタートの今季は右肩上がりに調子を上げ、5月の第14節からJ2タイ記録の7試合連続無失点。理想に掲げた「いい守備からいい攻撃」が形になった。

一方で攻撃は自由を与えた。ガンバ大阪から期限付き移籍で加入したMF遠藤保仁(41)を軸に、人とボールが連動する攻撃を展開。トップ下2人の元日本代表FW大津祐樹(31)とMF山田大記(32)がバランスを取り、FWルキアン(30)がゴールを量産した。勝っても、鈴木監督は「改善と成長が必要」と繰り返し、選手もその姿勢に応え続けた。得点数はリーグ最多の71得点。今季、先制した試合は23戦負けなし(20勝3分け)で、逆転勝ちも計6回と、試合展開で左右されない確固たるスタイルを確立した。

鈴木監督は先月27日に体調不良で検査入院した(現在は退院)。指揮官不在の間もチームは4連勝。選手は「監督のために勝とう」と結束し、昇格を届けた。黄金期を築いた指揮官のもとでたくましくなった磐田は来季、3シーズンぶりにJ1に戻ってくる。昇格はゴールではなく、名門復活へのスタート。再出発のシーズンになる。