「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の第2回は守備編。リーグ連覇を達成した川崎フロンターレは世界的にも誇れる快記録を達成した。その攻撃力がクローズアップされるが、今季はリーグ最少28失点、1試合平均0・74点は優勝チームとしては歴代最少。1試合平均の警告数、無警告試合数など数々のフェアプレーの記録も更新した。攻守両面で隙がなく、昨季J1を独走優勝したチームは今季も圧倒的に強かった。

【構成=石川秀和】

川崎フロンターレが「クリーンファイト」で歴代最少失点優勝を成し遂げた。失点は今季リーグ最少の28失点。1試合平均0・74点は優勝チームとしては最少記録となった。警告数も今季リーグ最少の18枚。1試合平均0・47枚は97年の神戸がマークしたJ1記録0・56枚を24年ぶりに塗り替えた。退場者ゼロ、出場停止にリーチがかかった選手もなし。無警告試合は25試合を数え、94年の広島が残した23試合を上回り、こちらは27年ぶりの新記録となった。

就任5年目の鬼木監督の下、球際の強さ、攻守の切り替え、ハードワークをさらに徹底。過密日程の中でもチーム全員でフェアにボールを奪い返した。自陣で不用意な反則を犯すこともなく、セットプレーからの失点は6点でリーグ最少。シーズン中にMF三笘、田中と次々に主力が海外へ移籍してもチームとしての土台は崩れなかった。チーム最多37試合に先発して警告、退場がなかったDF山根は「ファウルをしないでボールを奪う。しかし、激しく行くというのが僕のテーマ」と言った。

主将のDF谷口は「悪質なプレーはしない。厳しくは行くが、カードをもらわないようなプレーをする。練習中から監督含めスタッフに言われながら取り組んだ」と、その成果を強調。カードの少なさが守備の良さをさらに際立たせた。

世界的に見ても誇れる快記録となり、昨季のスペイン1部を制したアトレチコ・マドリードは同リーグ42年ぶりとなるレッドカードなしで優勝を決めたが、平均警告はクラブ公式サイトによると2・65枚。今季のJ1王者は退場者ゼロで平均警告0・47枚と、クリーンで最強。攻守両面で非の打ちどころがなかった。

◆94年広島と97年神戸 両チームともイングランド出身でフェアプレーを重んじた「紳士」スチュアート・バクスター監督が率いた。94年の広島は年間44試合中23試合がカードなし。当時は2ステージ(S)制で、第1S優勝を果たした。97年の神戸はJ創設5年目で初めてフェアプレー高円宮杯を受賞。昇格1年目で年間16位と厳しい戦いになったが、チーム一丸、ひたむきに戦った。チーム最多22得点のFW永島昭浩(現日刊スポーツ評論家)がフェアプレー個人賞を受賞。