高校年代3冠を達成した青森山田が、プレミアリーグEAST連覇へ白星発進した。今季最初の公式戦となった市船橋(千葉)との開幕戦を2-0で勝利。前半15分にDF小林康人(3年)がロングスローの流れから先制すると、後半34分には新背番号「10」のFW小湊絆(つな、3年)がPKで追加点を奪った。昨季はプレミアリーグ、全国選手権、全国総体を優勝。新型コロナウイルス感染拡大による青森県の措置で、2カ月に及ぶ部活動停止もあったが、困難を乗り越えて好スタートを切った。

新エースの小湊がほえた。1-0の後半34分、自ら得たPKを、GKが跳んだ方向とは逆のゴール右へ流し込んだ。得点後はジャンプしながら豪快にガッツポーズ。10番のユニホームをアピールした。「『山田の10番は俺だぞ』と示しました。もっと大舞台で証明できるように頑張ります」。胸トラップから反転してペナルティーエリアに進入すると、相手に倒されてPK獲得。21年度の全国選手権で、途中出場から3得点した実力者が、貴重な追加点を呼び込んだ。

今大会直前の遠征ではスランプ状態だった。「人生で初めて8試合連続で決められなくて」と得点を奪えずにいた。さらにPK戦では2度失敗。「(PK)恐怖症になりかけていたが、公式戦で決められたので、もう大丈夫です」。キックフォームを見直すなどして復活のゴールにつなげた。

昨季のプレミアリーグは開幕7連勝し、優勝をたぐり寄せた。その中心には2年時から背番号「10」を背負ったMF松木玖生(18=J1東京)がいた。エースナンバー継承が決まった際には、肩を組まれて「頼んだぞ」と熱いエールを送られたといい、「山田で10番をつけられて光栄です」と力を込める。

偉大な先輩たちの背中を追う。3冠を成し遂げた当時のAチームを、1年通して経験したのは小湊、主将のDF多久島良紀、MF中山竜之介(いずれも3年)しかいない。それでも小湊は「目の前の1戦1戦を全力で戦って、少しでも去年の結果に近づければ」と、あくまでも3冠を目指す。

今季のプレミアリーグで高い目標を設定する。「22試合あるので、試合数は点を取りたいです」と22ゴールに照準。絆(つな)という名前は「人と人とのつながりを大切にしてほしい」との思いが由来だ。前チームと現チームを“つなぐ”新エースが、ゴールを量産し、絶対王者・青森山田を証明する。【山田愛斗】

<コメント>

青森山田DF小林康人(開幕戦に勝利して)「試合前から緊張したり、不安だったりしたが、結果として2-0で勝ててホッとしています」