12年ぶりにJ1で戦う京都サンガの曹貴裁(チョウ・キジェ)監督(53)は敗れた試合後の選手へ、こんな言葉を伝えたという。
「言い訳を探すのではなく、自分たちの力が足りなかったという1日。これはネガティブではない。初めてのJ1ではこういう試合もあるんだ。ここからどう進むかが非常に大事」
前半5分にショートカウンターから先制を許す。同26分には敵陣からタテパスを入れられ、センターサークル付近で相手2トップとの2対2の形を作られた。速い攻撃に対応できず、守備が崩されて2失点目。
ただ、そこからは踏ん張った。同42分、FWウタカがドリブルで駆け上がり、中央のMF武富へ。振り向きざまに左足で1点差とするゴールを奪う。
3バックにシステム変更した後半は、流れをつかむ時間帯もあった。ダメ押しの3点目を失いはしたが、終了間際にはFW大前のパスを受けたMF福岡が決定的なチャンスを作る。シュートは惜しくも広島の日本代表GK大迫の好守に阻まれたが、最後まで勝利を諦めない姿勢は示した。
勝敗を分けたのはJ1での経験という、わずかな「差」だった。
京都は9節終了時点で5位につけ、アジア・チャンピオンズリーグ出場圏内(3位以内)を狙える位置につけた。だが、そこから5戦未勝利(2分け3敗)と失速。この日も勝てば、まだ上位に食らいつける可能性は残していた。
曹監督は冷静に分析する。
「広島さんにやりたいことをやられてしまった。警戒をしていて、練習もしていましたけど、こっちが(攻撃に)行こうとしたところでボールロストがあったり(相手の)ショートカウンターを引き出してしまった。試合内容としては完敗。ただ、こういったストロングポイントがたくさんあるチームから学ぶことがある。次に進む材料にしないといけないですし、僕自身も追いつけ追い越せ、でやっていく」
次戦は25日にアウェーの横浜戦。
「今日の負けから学ばないといけない。やっているサッカーは間違ってはいない」
京都はこの敗戦を、成長の糧にする。