セレッソ大阪が、公式戦5連勝を飾った。苦手だったホームも5連勝だ。

会見での小菊昭雄監督(46)の「試合展開を読む力、全員によるイメージの共有が、スムーズにできるようになってきた。大人のチームになってきた」という言葉が、現状の強さを端的に表す。

苦しい時間帯を耐え、少ない好機でも勝つ。誰が出ても与えられた仕事をこなし、故障者が出ても、選手層が厚くなった。中でもこの日は、移籍2年目の3選手がド派手な仕事から、地味なタスクまでこなした。

CKから決勝点を奪ったセンターバック(CB)のDF鳥海晃司(27)は、公式戦3試合連続フル出場。マテイヨニッチと西尾の控えに甘んじず、努力を重ねてきた。千葉・木更津市生まれでモデル級のルックス。「今季はなかなか、セットプレーで取れていなかったので、よかった」と笑う。故障離脱中の西尾の穴を、倍以上の活躍で埋めた。

DF進藤亮佑(25)は後半39分、疲労度の濃い最終ラインの左サイドバック(SB)に守備固めで投入された。本来はCBで、右SBも兼務するが、左SBはぶっつけ本番だったという。そして、無失点に貢献した。

「直前に監督に呼ばれて『いけるか?』って。プロに入って練習でも、やったことがなかった。『いけない(できない)』って、言おうか迷った。でも複雑なタスクじゃない。出たら、やることははっきりしていたから」

FW加藤陸次樹(25)は公式戦2試合連続ゴール中で、直近の5試合ですべて得点に絡む活躍だった。この日は後半11分から途中出場し、記録はストップしたものの、出番から1分後、MF清武のスルーパスに反応し、得点の匂いを充満させた。加藤の存在は湘南に脅威を与えていた。

「連続得点や、連続で得点に絡むことは意識していたけど、勝てたことが何より。(鳥海)晃司君がよく取ってくれた。また、絡めるように頑張ります」

昨年8月25日のJ1リーグで1-5と湘南に歴史的大敗を喫し、当時のレビークルピ監督が事実上の解任となった。場所も本拠ヨドコウだった。直後にコーチだった小菊監督が、内部昇格した。

新生セレッソのスタートから約10カ月。主将清武はこの日、今の強さを聞かれて「みんなが(1つに)まとまっている。その中心に小菊監督がいる」と答えた。ベスト8進出に王手をかけたルヴァン杯、現在5位にいるJ1リーグ、3回戦に進んだ天皇杯。どれも優勝の可能性を残し、勝負の夏に向かう。【横田和幸】