低迷するヴィッセル神戸の吉田孝行新監督(45)が、わずか3日の指導で待望の「1勝」を手にした。

スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(65)の契約を6月28日付で解除。強化部スタッフから後任監督に就任することが正式発表されたのは同29日のことだった。直接指導したのは同日からの3日間だけ。バトンを受け継いだ時点で2勝5分け11敗で最下位のチームを変えるには、あまりにも時間が少なかった。

就任後初戦となった7月2日のアウェー鳥栖戦は、元日本代表FW武藤嘉紀(29)が後半34分、同ロスタイムと頭で移籍後初の2得点を決め2-0で勝利した。直後の会見。短い時間で新たな戦術を伝えることができたのかを問われると、吉田監督はこう答えた。

「もちろん! この3日間で攻撃、守備、ブロックの入り方は特にやりました」

それが出たのが得点場面だった。武藤の2得点とも途中出場のFW大迫がニアに入り、おとりになって相手DFを引きつけたもの。簡単なようで、これまで徹底できていなかったものが、ようやく形になった。

現役時代、FWだったからこそのこだわり。同監督は「1人ではなく、みんながハードワークをしたゴール。あれはみんなのゴールです」と強調。武藤も「どんなに(体力的に)苦しくても、ペナルティーエリアの中に入ることを考えた。(大迫と)どちらかがニアに入ってつぶれ役になるのはマストです。同じところに2人いても得点機会が半減してしまうから」と明かした。

勝ってもまだ最下位は変わらない。J1残留圏の15位湘南とは勝ち点6差ある。それだけ長いトンネルから抜け出せていなかった。

ただ、ロシア1部FCロストフからの契約が延長され、鳥栖戦もフル出場したMF橋本拳人(28)が「監督が代わって危機感を感じている」と話したように、チーム全体が変わろうとしているのは事実だ。

真夏の正念場はこれから。6日にホームで17位の清水戦、9日にアウェーで16位の磐田戦。

スター軍団の目標が「J1残留」というのは寂しいが、絶対に負けられない対戦が続く。

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