清水エスパルスが点の取り合いで、北海道コンサドーレ札幌に敗れ、J2降格が決まった。これにより前節、すでに降格が決まっていたジュビロ磐田とともに、来季のJ1リーグからサッカー王国静岡のクラブが消える。Jリーグ史上初の静岡県勢ダブル降格の悪夢が、現実となってしまった。

エースFWのチアゴ・サンタナが得点し、今季14得点で自身の得点王を確定させた。ワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表の守護神、GK権田修一が最後方に構えていたが、この日は4失点。得点王と日本代表の正GKを擁しながらの降格となった。

今季途中から指揮を執るゼ・リカルド監督は「とにかく結果は残念です。ここからしっかり立て直し、前に向かってやってきたい」と話した。権田は「申し訳なさが一番。静岡でエスパルス、ジュビロが2チーム落ちてしまった。もう1回静岡がサッカー王国と呼ばれるようにやらなければいけない」と悔やんだ。

最終節を残し、自動降格の残る1枠は15位のガンバ大阪、16位の京都サンガ、17位の清水エスパルスの3チームの争いとなっていた。勝ち点33の清水はコンサドーレ札幌戦で引き分け以下ならJ2降格だった。アウェーで札幌と激しく点を取り合い、後半、一時は3-2とリードした。この時点で、自動降格圏を抜け出して終える可能性があったが、終了間際に2失点し、力尽きた。

お茶の産地としても知られる静岡は、古くからサッカーどころとしてカズ(三浦知良)ら多くの名選手を輩出してきた。世界におけるブラジルのように、日本のサッカー界では自他共に認める「王国」。だが、そのプライドが、この結果で損なわれる事態になった。

清水は1993年(平5)のJ創設時からあるオリジナル10の1つ。そして、磐田は、翌94年に加わり、中山雅史、高原直泰、名波浩、藤田俊哉らを擁し2002年(平14)に、Jリーグ史上最強ともされる強さを誇り、その時を加え、3度のリーグ制覇を誇る名門として一時代を築いたが、今季は1年でJ2に逆戻りが決まっていた。

両クラブとも奮わず、磐田は02年を最後に優勝はなく、清水も残留争いに巻き込まれ、苦しいシーズンが続いていた。

1日に発表されたワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表の出身地を見ると、過去6大会で最多となる延べ26人のW杯日本代表を輩出してきた静岡県出身選手は、今年6月に初選出された伊藤洋輝(シュツットガルト)だけ。

9人が選ばれた98年大会から6大会連続で複数人を送り出してきた「サッカー王国」は伊藤の台頭で、何とか7大会連続の記録は守ったが、このデータも、王国が厳しい状況であることを物語っていた。