「モンテの快進撃」が止まった。J2年間順位6位モンテディオ山形が、敵地で同4位ロアッソ熊本に痛恨のドロー。

J1参入プレーオフ(PO)決定戦進出を逃し、悲願の「J1復帰」はならなかった。

タイムリミットが刻一刻と迫る。スコアは2-2。引き分け以下が許されない一戦。後半ロスタイム6分に突入。選手たちは必死にボールをゴール前へ入れるが最後まで決勝点が遠かった。無情にも試合終了のホイッスルが鳴ると、ホーム熊本サポーターの大歓声が響き渡る中、その場で立ち尽くし、両膝から崩れ落ちた。ピーター・クラモフスキー監督(44)は「選手たちは信念を持ちながら戦って、1つ1つ出し切ってくれたが、決勝点を奪えなかったことを残念に思います」と肩を落とした。

一瞬の緩みが“魔の後半の立ち上がり”を生んだ。MF山田康太(23)はこう振り返る。「ふわっとした感じで後半入ってしまった。最後に隙が生まれた」。慢心、油断があったわけではない。ハーフタイムには「後半最初の10分間がカギになってくる」と指揮官は選手に言っていたが、結果的に痛恨の1点となるPKを後半開始早々に与えてしまった。背番号「10」をつける山田康は「チームを勝たせられなかった。1プレーヤーとして力不足」と責任を背負い込み、試合後は目頭を押さえた。

確かな強さを証明した。前半12分にセットプレーで先制点を許すも、同17分に山田康が同点弾。7分後にはMF南秀仁(29)が鮮やかなループを決めて勝ち越し。シーズン終盤からの勢いを象徴する展開となった。南は「逆転できたことは良かった」と胸を張った。

「J2優勝」でJ1舞台への返り咲きを誓った。「優勝できるポテンシャルはある。上を目指して戦っていきたい」と南。この敗戦を糧に、来季の巻き返しへ、再スタートする。【佐藤究】