新潟医療福祉大(北信越1)は、夏の総理大臣杯覇者の国士舘大(関東6)を1-0で撃破。同校初の全国大会決勝に駒を進めた。前半12分、FW田中翔太(3年)がMFオナイウ情滋(4年)の右クロスを頭で合わせて先制点を決める。その後は圧力を高めた相手にシュート16本を浴びたが、センターバックの二階堂正哉主将(4年)と秋元琉星(2年)を中心にはね返し、無失点に抑えた。決勝は来年1月1日、東京・国立競技場で桐蔭横浜大(関東4)と対戦する。

田中が豪快な一撃をぶち込んだ。前半12分、右サイド、深い位置に走り込んだオナイウに二階堂からのロングパスが通った瞬間、田中は「もらった!」とゴールを確信した。イメージ通り、タイミング良く、ニアに走り込んでオナイウのクロスを頭で完璧に合わせた。得点後は雄たけびを上げ、チームメートを呼び込んだ。今大会通算3得点目はチームを決勝に導く決勝点。「相手の前に入ることを意識した。得点で勝利に導くことができて良かった」と顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

全国大会初の準決勝にも気負うことなく、関東の強豪にぶつかった。先制点後、ボール保持率は圧倒されたが、球際の激しさや走力、勝利に対する執念で上回った。最終盤、地上戦を捨てた相手は長身選手を目がけた空中戦を仕かけてきたが全員が体を投げ出し、守りきった。ハイボールをはね返し続けた秋元は「自分は全国一のヘディングを目指している。結果が出て良かった」と胸を張った。

この日、4年生のスタメンは4人だけ。守備は秋元とGK桃井玲の2年生コンビが支え、攻撃はMF沼田航征、MF坂岸寛大、田中の3年生トリオが鋭いカウンターを仕かけた。実力でチームをけん引する4年生と勢いのある下級生が融合し、駆け上がってきた。佐熊裕和監督(59)は「勝ちながら経験値を上げている」と手応えを口にする。

チーム力でつかんだ初の決勝進出。田中は「(決勝は)4年生と一緒に戦える最後の試合。ゴールを決め、優勝で送り出したい」。チーム一丸で戦う新潟医療福祉大の勢いは、もう止められない。【小林忠】

○…MFオナイウ情滋が大学4年間で磨き上げたクロスで決勝点をアシストした。キックフェイントで対峙(たいじ)する選手のタイミングをずらし、田中に絶妙なラストパスを配球。「あそこで仕かけなかったら自分がいる意味がない」。激しいマークを受けたが、重要な一戦で自らの存在価値を示した。チームは全国初制覇に王手をかけた。元日決勝に向け「国立(競技場)でプレーできる機会はめったにない。全員で楽しみ、優勝したい」。