大きな夢をつないだ。前回大会優勝で同校初の連覇を狙う青森山田が、6度の優勝を誇る国見(長崎)にPK戦で勝利し、5大会連続の8強入りを決めた。

1-1の後半終了間際に投入されたGK鈴木将永(2年)がPK2本をストップ。大会前のケガを乗り越え、今大会初出場で躍動する姿をチームメートに示し、キッカー4人が連続成功。苦しみながらも「名門対決」を制したイレブンの雄たけびが、等々力に響いた。

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気持ちの準備はできていた。後半終了間際、これまでゴールを守っていたGK葛西淳(3年)に代わり、鈴木がピッチへ。その後すぐに運命のPK戦が始まった。2試合連続PK勝ちの国見が先攻。ゴールの前に立った188センチGKは「来い!」と叫んで闘魂を注入。直感を信じ、キッカー2人目で左、4人目は右に跳んでシュートをストップ。最後は、2試合連続先制ゴールのDF三橋春希(3年)がゴールネットを揺らし、歓喜の瞬間が訪れた。

昨年7月の全国高校総体では先発出場を果たしたが、同9月に右足甲を骨折。11月中旬に完治しメンバー入りしたが、ベンチスタート。それでも「PKのキーパーとして出る可能性があることは聞いていた。試合に出て、自分の名前や価値を上げていこう」と気落ちすることはなかった。勝利を託した正木昌宣監督(41)は「PKになっても勝てる自信は持って準備はしてきた。本当にキーパー、キッカーに感謝している」とたたえた。

殊勲の鈴木は、元日が誕生日。部員やスタッフから祝福され、新年最初の試合で大活躍。「17歳になったんですけど、いいスタートが切れたのかなと思います」。4日の準々決勝では、強力なアタッカーを擁する神村学園(鹿児島)と激突する。

鈴木 結果が出たことは一番うれしいですけど、まだ大会が終わったわけでもなく、優勝したわけでもないので…。もう1回切り替えて、いい準備をし直して、次の試合に向けてやっていきたい。

初の連覇がかかった17年度は、3回戦で長崎総合科学大付に敗戦。00、01年度の国見以来となる連覇を逃した。「長崎の壁」を越えたイレブンの冬はまだ終わらない。【相沢孔志】

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