東山(京都)が日体大柏(千葉)との激戦を制し、同校初の4強入りを果たした。後半終了間際にまさかの形で間接フリーキックを与えたが、11人全員がゴール前にずらりと並ぶ奇策で死守。PK戦でもGK佐藤瑞起(3年)を中心に一丸で勝利をつかんだ。京都勢のベスト4は、13年度の京都橘以来9大会ぶり。7日準決勝で前回準優勝の大津(熊本)と戦う。神村学園(鹿児島)はドイツ1部ボルシアMGに加入するFW福田師王(3年)が決勝ゴールを決めた。

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まさに「11人の壁」だった。「サッカーをやっていて1、2回あるかという場面。11人全員が『自分が守る』という意識があった」。その中心にいたGK佐藤は、胸を張った。

後半34分、ゴール前に入ったクロスをDF新谷がクリア。これを佐藤が両手でつかむと、バックパスの判定が下された。まさかの形で迎えた間接フリーキックのピンチ。会場はざわめいても、東山の選手たちは冷静だった。

11人全員がゴール前にずらりと並んで横一列。「僕が手を使えるので、正面に来たら一番に行く。横に行ったら体を張って守ると話していた」。相手が縦に7人で並んでかく乱しても、列は乱れない。1人、2人と蹴るしぐさだけで消え、4人目が放ったシュートを全員が「壁」になって弾くと、最後は守護神が全身でキャッチ。奇策成功だ。

「ハンドになって申し訳なかったけど、しっかり切り替えて、全員で守ることができた」。GKだが尊敬する人は元日本代表の本田圭佑。「どんな時でもぶれないメンタルがすごいと思う」。あこがれの「ケイスケホンダ」ばりのメンタルをPK戦でも発揮。最終5人目のシュートを読み切り、勝利の立役者となった。

もちろん、自信は日々の努力のたまもの。毎日チーム全員に蹴ってもらったPK練習が、この日の躍動につながった。東山サッカー史を塗り替えた4強にも満足するつもりはない。「まだ日本一じゃないので、気を抜かずにやっていきたい」。窮地をものともしない強さがあれば、ここから先も怖くない。【磯綾乃】

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