30周年のJリーグが幕を開けた。昨季王者の横浜F・マリノスが、敵地で川崎フロンターレに2-1で勝利。今季のリーグ第1号となる先制ゴールをFW西村拓真(26)が奪うなど、持ち前の攻撃力をオープニングゲームから発揮し、難敵を退けた。

100%の声出し応援が解禁され、詰めかけた両軍サポーター2万2563人の大歓声に包まれた一戦。横浜が、連覇へこの上ないスタートを切った。

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同じ神奈川のライバルを退け、横浜が連覇へ好スタートを切った。前半で2得点。リーグ戦で先制した試合は、直近の20戦で無敗(17勝3分)。その“不敗神話”を21に伸ばした。詰めかけた2万人超の大歓声で、等々力はコロナ禍を乗り越えたような熱気に包まれた。西村は「川崎さんもマリノスも、最高の雰囲気をつくってくれてありがたい」と感慨深げに感謝した。

勝利をたぐりよせる先制点は前半4分。この男が決めた。前線から厳しいプレスをかけ、相手GKのパスをFWエウベルが頭に当ててブロック。ルーズボールの落下点にいち早く走り込み、前掛かりになっていたGKを冷静に見て、やわらかいタッチで左隅へ決めた。「1試合に1点を取ることが目標」と年間34ゴールを目指す男が、開始早々に今季のリーグ第1号を決め、主導権を握った。

川崎Fとは直近の6シーズンでJ1のタイトルを分け合ってきた。Jリーグをけん引するチーム同士とはいえ、うち4度は優勝をさらわれている。昨季はV奪回も、勝ち点差はわずかに2。敵地では敗れた。この日も難敵のパス回しに手を焼いたが、白星は譲らず。MF水沼は「きれいなサッカーではなかったけど、勝ち切れたことが成長」と胸を張った。

昨季のチーム得点は、J1最多となる70。お決まりともいえるマルチ得点で、新シーズンも破壊力健在を印象づけたが、水沼は引き締めるように言った。「自分たちはこんなもんじゃない。まだまだ攻められるし、攻められるようにならないといけない」。

03年~04年シーズン以来となる連覇へ-。慢心は微塵(みじん)もない。最大の難所と言える敵地・等々力を制し、この上ない船出となった。【岡崎悠利】

▽横浜マスカット監督(開幕戦勝利に) 30周年であり、自分たちがどれだけ盛り上げられるか責任もある。今日の勝ちをかみしめたので、また明日から準備をしたい。

○…GKオビが好セーブでチームを支えた。1-0の前半に、MF遠野と1対1のピンチを迎えるも、シュートを止めた。「試合の前から、ああいう場面もあると想定していた」と冷静な対処に胸を張った。それでも、足元の技術も高いレベルが求められるチームでは、パスの精度は成長の途上。武器のシュートストップで貢献しつつ、さらなる進化を目指す。

【Jリーグ開幕戦】昨季優勝の横浜が貫禄勝ち、川崎Fジェジエウ退場も意地見せた/詳細