日本サッカー協会(JFA)は19日、天皇杯4回戦(2日、名古屋グランパス戦、CSアセット港サッカー場)で、浦和サポーターが暴力や破壊行為に及んだ件で、浦和への処分を決定した。24年度第104回天皇杯参加資格のはく奪処分と始末書の提出となった。規律委員会で決定された。

 

規律委員会は本件について「現時点で判明しているだけでも70名以上にも及ぶ多数のサポーターがスタジアム内で集団として暴徒化し、相手チームのサポーターを威嚇し、相手チームのサポーターや警備運営関係者に対して暴行を加えるという、日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なものであり、その場に居合わせた子供を含む多くの観客、チーム関係者、スタジアムや運営に携わる関係者等を危険にさらし、恐怖に陥れるものであった」と断罪した。

 

サポーターへの処分は既に公表済み。天皇杯の「試合運営管理規定」が適用されるため8月31日のJFAの臨時理事会で決定し、17人を無期限の入場禁止、1人を5試合の入場禁止としていた。浦和の試合だけではなく、日本国内で行われる全ての試合が対象。JFAによるサポーターへの処分としては過去最大規模だった。

 

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▽浦和のサポーター暴徒化騒動の経緯

◆8月2日 天皇杯4回戦・名古屋戦(CSアセット港サッカー場)で浦和が名古屋に0-3で完敗。100人以上の浦和サポーターが、名古屋サポからのやじなどを起因に激高し、緩衝帯を突破。名古屋の応援エリアに侵入して横断幕を引き剥がし、警備員を突き飛ばす暴動を起こし、愛知県警まで出動する騒ぎに。

◆同3日 浦和が暴徒化したサポーターの処分を発表。<1>「立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーター31人に3日以降に開催される浦和の出場試合9試合への入場禁止」、<2>「立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーターを統括するリーダー1人を、3日以降に開催される浦和の出場試合16試合への入場禁止」、<3>「立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーター45人を厳重注意」とした。

◆同5日 田口誠社長と須藤伸樹マーケティング本部長がオンラインで会見。処分について、日本サッカー協会やJリーグのガイドラインを判断基準に「立ち入り禁止エリアの侵入での処分とした」と明言。処分理由に「横断幕に損傷を与えたが、両サポーターの和解が成立し、暴力をふるっていないという判断。恣意(しい)的に軽くはしていない」と発言した。

◆同9日 日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が「ビデオを見た中では(暴力に)相当するものがあるということは上がってきている」と言及。「集団的に威圧することがどれだけ人を恐怖に陥れるか」「安全安心が損なわれるものになるとすれば、毅然(きぜん)と判断しなければいけない」と発言した。

◆同16日 浦和が「新たな違反行為」として続報を発表。<1>「暴力行為(警備員を押し倒したり、相手サポーターの胸倉をつかむなどの行為)12件」、<2>「威嚇行為(相手ゴール裏付近で罵声を浴びせたり、挑発するなどの行為)6件」、<3>「危険行為(ペットボトルの投げ込みや、相手ゴール裏に侵入するなどの行為)8件」、<4>「破壊行為(緩衝柵を破壊するなどの行為)12件」、<5>「その他違反行為(相手サポーターの横断幕を破損させようとする行為)2件」を公表。行為者数は25人程度で引き続き調査を行うとした。

◆8月31日 日本サッカー協会が臨時理事会で暴力や破壊行為に及んだ浦和サポーターへの処分を決定。17人を無期限の入場禁止、1人を5試合の入場禁止に。浦和の試合だけではなく、日本国内で行われる全ての試合が対象となる。

◆8月31日 JFAの処分を受け、クラブ独自の追加処分を発表。17人に国外での試合を追加し「国内外を問わず、浦和レッズが出場する全ての試合で無期限の入場禁止処分にする」とした。