北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二(44)の清水商高時代の1学年後輩で浦和などに所属した元Jリーガー、札幌光星サッカー部監督の小林宏之さん(43)が先輩の現役引退を惜しんだ。決断を直接本人から事前には聞いていなかったが、予感はあった。

9月27日の発表の1カ月ほど前、母校(現清水桜が丘)の恩師、大滝雅良監督に会いに行くと聞き、何かの報告かもしれないと感じた。ついにラストマッチの日を迎え「寂しいですね」としみじみ。高校時代から呼び方は変わらず「小野さん」だ。

ピッチ内外で違う顔を見た。練習中は厳しかった。「要求が怖くて、『もっとこっち、もっと速く』と。ついていくのに必死だった」。札幌から静岡に進学した小林さんは小野と下宿先が同じで、旅館の日本閣での風呂や食事もともにした。普段は「ものすごく優しい」。ギャップが魅力だったという。

練習ではよくパス交換を一緒にした。土のグラウンドでも小野のパスは正確。小林さんは自身のパスがズレると、自ら取りに走った。「鍛えられましたね」と笑う。

札幌光星の練習にも顔を出してくれた。昨年の全国高校選手権北海道大会前には、ビデオメッセージが届いた。高校時代にかなえられなかった全国への思いを語り、エールを送っていた。「熱いメッセージで、選手の士気も上がった」。22年ぶりに決勝まで進出し、全国まであと1歩に迫った。

小野が「俺は旅人」と語っていたことがあるという。日本から世界へ、旅を続けてきた。もしかしたら今後も違った形で旅は続くのかもしれない。「枠に収まらない方だけど、第2の小野伸二さんを育てて欲しい。小野さんが作り上げる後継者が楽しみ」と期待を寄せた。【保坂果那】