J3奈良クラブは1日、アカデミー(下部組織)のテクニカルダイレクター兼ユースコーチに、高校サッカーの名門・興国(大阪市)の前監督で、セルティックFW古橋亨梧ら30人以上のJリーガーを育てた内野智章氏(44)が就任すると発表した。

私立の興国で保健体育の教員だった内野氏は、1月末で同校を退職。同校サッカー部へは今後、スーパーバイザーとして支援していくものの、青森山田から町田ゼルビアの指揮官になった黒田剛監督と同様、高体連で実績を残した指導者としてJリーグに転身する。

奈良の浜田満社長(48)と旧知の関係で、今回の招聘(しょうへい)が実現した。内野氏は奈良でも引き続き、高校生らを中心に技術に特化した指導にあたる予定。将来的にはJリーグの監督資格に必要なS級ライセンスの取得の可能性もあるという。

興国では06年から監督を務め、19年度の全国高校選手権初出場に導いた。個人技を重視したプロ仕様の選手を育成し、興国は「関西のバルサ(バルセロナ)」とも呼ばれていた。

内野氏が育てた主なJリーガーは古橋やFW樺山諒乃介(鳥栖)、GK田川知樹(J3富山)、FW永長鷹虎(J2水戸)ら30人以上。その育成方法を紹介する著書も出版するなど、高体連の指導者としては異彩を放つ存在だった。

内野氏はクラブを通じて「この奈良クラブで選手の育成に関われること、非常にうれしく思います。これまでの教員としての経験を生かしつつ、選手と共に成長し、選手の成長を全力でサポートさせていただきます」とコメントした。

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◆内野智章(うちの・ともあき)1979年(昭54)5月31日、堺市生まれ。主にMFで初芝橋本(1年時の高校選手権で3年生のFW吉原宏太らと全国ベスト4)、高知大を経てJFL愛媛(現J2)に入団。退団後は関西社会人リーグの奈良・高田FCで仕事と掛け持ちしながらプレー。05年に興国の非常勤講師になり、06年に監督に就任。23年6月で監督を退任し、ゼネラルマネジャー(GM)に就いていた。