2024年シーズンのJリーグがいよいよ開幕する。2季ぶりのJ1となる磐田は24日の開幕戦でホームに昨季J1王者の神戸を迎え撃つ。2季連続で主将を務めるMF山田大記(35)はトップ下での先発が濃厚。プロ14年目を迎えるベテランは、新たに15選手が加入して生まれ変わったチームをプレーで引っ張っていく。

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プロ生活で裏打ちされた経験をピッチの上で体現する。山田は今年でプロ14年目。フィールド選手では最年長になったが、プレーの質は全く落ちていない。試合の流れを読みながら、相手の急所を突く戦術眼は今季もチームの武器になる。文字通り、ピッチ上の「指揮官」。今季も主将に任命され、「うれしい気持ちはある。信頼に応えたい」と抱負を口にした。

チームにとっては2年ぶりのJ1。山田は「簡単に勝てるリーグではない」と気を引き締める。特に今季は新たに15選手が加入し、チームは大きく生まれ変わった。プレシーズンで意識したのは新戦力との融合。鹿児島キャンプでは自身のアピールだけでなく、他選手の特徴を把握することにも重きを置いてきた。

現状のチームはまだ発展途上。キャンプ後には「もっと上げていかなければいけない部分はある」と冷静に分析した。神戸との開幕戦がピークではなく、長いシーズンを見据えている。「開幕はもちろん大事だけれど、38試合のうちの1試合」。相手は昨季のJ1王者で、「僕らはあくまでもチャレンジャー」と表情を引き締めた。

神戸は個々の能力を前面に出して戦うスタイルが武器。山田は「組織でカバーすることは大切だけれど、個の勝負で負けてはいけない。そこのバトルでも戦う」と、真っ向勝負する構えだ。今季は名門復活への再スタートとなる大事な1年。その重要性も理解している。J1復帰にも浮かれず、挑戦者として戦い抜く。新生磐田を引っ張るベテランは地に足をつけて走り続ける。【神谷亮磨】

 

○…新加入選手も開幕先発に名を連ねそうだ。今季は15選手が加入。ブラジル人FWのマテウス・ペイショット(28)は1トップの可能性が高い。190センチの大型FWはキャンプ最終日の清水との練習試合で右足首を負傷したが、20日の練習はフルメニューを消化。「足は問題ない」と強調し、「ゴールでサポーターに喜びを与えたい」と誓った。また、J2熊本から加入したMF平川怜(23)も先発候補の1人。ボランチが本職でサイドバックに抜てきされているMF植村洋斗(22)が先発すれば、11年の小林裕紀以来13年ぶりの開幕新人スタメンとなる。

注目は守護神争い。昨季主力のGK三浦龍輝(31)と元日本代表GK川島永嗣(40)が争っている。W杯4度出場のベテランが出場すれば、川崎F在籍時の10年5月16日以来、5032日ぶりのJリーグ出場。14年前はヤマハスタジアムでの磐田戦後に海外移籍。「ヤマハ」で止まっていたJリーグ出場記録が「ヤマハ」で再び動きだす可能性もある。川島は「コンディションはいい。チャンピオンとの対戦を楽しむだけじゃなく、結果にこだわりたい」と力を込めた。

 

○…就任2年目の横内昭展監督(56)は昨季の雪辱を誓った。チーム状況は「去年の今と比べてやれる自信はある」。鹿児島キャンプでは守備の構築に手応えを示した。昨年は天皇杯3回戦で神戸と対戦し、2-5で敗戦。指揮官は「あの時の天皇杯から間違いなくチームは成長している。今年は同じ舞台で戦うので、同じ相手に負けたくない」と闘志をむき出しにした。

 

○…サッカー界のレジェンドも今季の躍進を期待した。95年から4年間磐田に在籍した元ブラジル代表主将のドゥンガ氏(60)が20日、磐田市内の練習場を訪問。クラブハウスから練習を見守り、現役選手を激励した。神戸との開幕戦も観戦する予定。「ヤマハでプレーしたくなってしまう」と冗談を飛ばしながらも、「心、魂を込めてプレーしてほしい」と、闘魂注入した。