町田が退場者を出しながら川崎Fに1-0で競り勝って連敗を免れ、首位をキープした。パリ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア杯カタール大会の日本代表のFW藤尾翔太(22)が、出国前最後の試合で決勝点を挙げた。今季3得点のうち2点がV弾と勝負強さが売り。大阪育ちの金髪ストライカーが好調を維持して中東へ乗り込む。2位広島は湘南に2-0。C大阪は新潟を1-0で下して得失点差の3位につけた。

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藤尾の周りには得点のにおいが漂っている。前半32分、FW藤本の左クロスに反応。同じU-23日本代表の相手DF高井をうまく出し抜き、逆サイドで押し込んだ。「競った(高井)幸大より僕の体が前に来ていたので、いいボールが来たら決められるなと。思った通りのボールで決めるだけだった」。後半もゴールネットを揺らした。直前のプレーがオフサイドで、VARによって得点が取り消されたものの、開始直後の絶好機も含めてチャンスには必ず藤尾がいた。「僕のゴールで勝つのはすごくうれしい。チーム全体も、FWが点を取れば流れに乗れる」と首位堅持に貢献した。

環境の変化が急成長を後押しした。C大阪の下部組織で育ち、昨季、当時J2の町田に期限付き移籍。33試合8得点でJ1昇格に導き「試合に使ってもらったことでゴールにつながる結果も増えた。勝負強さが1年間の成長」と実感を込める。今季から完全移行して初昇格組に力を与えた。

筋力トレーニングで体重も4キロ増の79キロに。黒田監督からも「負けない体、大きいCBに対しても耐え切れる体を作りあげた。この1年間で大きく成長してくれた」と賛辞を贈られた。

J1首位クラブのエースとして、五輪切符をつかみ取る。「今の僕はすごくいい状態。向こうに行っても結果を出したい。五輪切符の獲得が一番大事なので、注視してやりたい」。勝負に徹する「町田イズム」を中東でも体現し、パリ行きを成し遂げる。【佐藤成】