コンサドーレ札幌の来季監督に柏監督の石崎信弘氏(50)が就任することが28日、決定的になった。クラブは日本代表前監督のイビチャ・オシム氏(67)を総監督、息子アマル・オシム氏(41)を監督に据えた2トップ体制の招聘(しょうへい)に動いていたが、金銭面や健康面などがネックとなり断念。この日、オシムサイドに断りの連絡を入れ、今季限りで柏を退任する石崎氏1人にしぼり、シーズン終了後にも本格交渉に入る。

 札幌の監督問題が思わぬ形で決着に動きだした。クラブはオシム親子の招聘(しょうへい)を狙っていたがこの日、オシム側に断りの意向を伝えた。直前まで来季監督候補はオシムと石崎氏の2人が最終リストに残ったが、石崎氏を選択。シーズン終了後にも本格的な交渉に入るが、今季限りで柏を退任することから交渉に障害はなく、石崎氏の就任が確実だ。

 オシム招聘断念は金銭的な面が影響した。シーズン途中、大口スポンサーが中心となって獲得に乗りだし、10月に矢萩竹美社長(58)に伝えた。その後、クラブが本格的に調査したが、2人の人件費は年俸6000万円(推定)を含め、通訳や医療体制など総額で約1億円。来季トップチーム人件費が今季より約3億円減の4億5000万円では現実的な選択ではなかった。

 健康上の理由もあった。クラブではオシム氏にも選手への指導に大きく携わってほしい意向を持っていたが難航。若手育成を来季強化の軸とするチームにとっては適任者だったが、さまざまな事情が重なり、撤退を決断した。

 オシム親子を断念し、来季札幌は石崎新体制で臨む。石崎氏は大分、川崎FでJ1昇格争いを演じ、柏をJ1昇格させ、若手育成にも定評がある。現役時代の80~93年まで札幌の前身の東芝に所属した縁もある。三上強化部長はこの日、石崎氏について「育成しながらチームをつくっていくという実績もある人だし、このクラブにはふさわしい人材かとは思う」と話すにとどめた。来季札幌は石崎氏で1年でJ1復帰を目指す。