C大阪が、MF香川真司(20)の引き留めに異例のオプション契約を提示していることが14日、分かった。契約に、シーズン途中の海外移籍を認める条項を入れることを既に本人に伝えている。欧州のシーズンが始まる来年夏にも海外移籍を認める方針だ。オランダ1部のVVVから正式オファー、ブンデスリーガの複数クラブからリストアップされている中、シーズン途中にエースを失うリスクも覚悟して引き留めを図る。

 半年だけでもいてほしい-。来季4年ぶりにJ1へ復帰するC大阪が、香川引き留めのために異例の条件を提示していた。1年契約の中に特別な条項を盛り込んだもの。C大阪幹部は「来年の夏に海外から正式なオファーが届けば、気持ち良く送り出してあげたい。来年のW杯後の海外移籍をバックアップしたい」と明かした。

 香川がC大阪以外、オファーがあった国内クラブには既に断りを入れている。海外ではオランダ1部のVVVから正式オファーが届き、ブンデスリーガのシャルケ、ハンブルガーSV、ドルトムントからリストアップされている。だが、香川が最もあこがれを抱くのはスペイン。香川に興味を持っていたサラゴサは撤退した。C大阪側は「来年のW杯に出場した上で、各国からのオファーを待てばいい。スペインからもオファーがくるかもしれない」と香川に主張したという。

 今オフに海外移籍が実現した場合、シーズン途中からの入団でレギュラー争いしなくてはいけないデメリットはある。香川が希望する「中心として試合に出られる」というクラブがあるかは、現時点で未知数だ。

 この日、香川は手術した右足甲のリハビリのため大阪・南津守練習場で約30分、体を動かした。手術後、初めて軽めのランニングも行った。「(C大阪は)海外移籍をバックアップしてくれていると言ってくれている。うれしい限り」と話した。今月中にもドイツとオランダの各クラブを視察する計画も立てているが、20歳のホープの去就に注目が集まるばかりだ。