エスパニョールの日本代表MF中村俊輔(31)が、7年半ぶりに日本復帰することが20日、決定的になった。この日、横浜の嘉悦朗社長(54)と中村の代理人であるロベルト佃氏が電話などで交渉を行い、複数年契約による完全移籍で合意に達した。これを受け、週明けにも同社長がスペインに渡って、エスパニョール側とのクラブ間交渉に入る。すでにエスパニョールの幹部は移籍容認の姿勢を示しており、早ければ2月中に、中村の横浜復帰が正式に決まる。

 中村の古巣復帰が決定的となった。この日、横浜の嘉悦社長、下条佳明統括本部長、中村の代理人ロベルト佃氏が電話などで交渉。移籍に関する横浜側と中村側の諸条件の確認を行い、合意に達した。下条本部長は、中村の代理人と嘉悦社長が連絡を取り合ったことを認めた上で「一両日中に方向性が決まると思います」と話し、近くエスパニョール側とのクラブ間交渉に進むことを示した。

 横浜側と中村側が合意したのは、横浜側が用意した獲得資金や複数年契約による完全移籍などの諸条件。また中村の移籍希望についても最終確認されたもよう。横浜は昨年、中村獲得に失敗しており、嘉悦社長も「2度と失敗は許されない」と強い意思を表明していた。またクラブ間の交渉に進んだ場合は「直接スペインに乗り込むことがあるかも知れない」と話しており、週明けにも同社長が現地に渡ることになりそうだ。

 中村はエスパニョールとの契約を1年以上残しており、移籍金は約2億円とみられている。ただし、エスパニョール側も、戦術的理由などで出場機会の減った中村を引き留めない見込みで、2月中にも移籍が正式に成立する見通しだ。

 中村は3月3日のアジア杯予選バーレーン戦に招集されることが確実で、2月末か3月初めに帰国する。Jリーグ開幕は3月6日で横浜はアウェーで東京と対戦。開幕までの時間はわずかだが、木村和司監督ら現場サイドが、チームにフィットすると判断すればJリーグ復帰の舞台がいきなり開幕戦になる可能性も十分に出てきた。

 中村の日本復帰は、今年になって低迷が続く日本代表にとっても好材料だ。6月のW杯南アフリカ大会に向け、司令塔が出場機会に恵まれていない状況は岡田監督にとって悩みの1つだった。中村がJリーグで試合出場を重ねることで、その悩みも解消されそうだ。7年半ぶりの日本復帰は、各方面に大きな影響を与えることになる。