<天皇杯:浦和2-0徳島>◇11日◇駒場◇3回戦

 右ふくらはぎの肉離れで離脱していた浦和MF鈴木啓太(29)が、公式戦10試合ぶりに戦列復帰を果たした。J2徳島戦の後半29分から途中出場。攻守でボランチの役割を果たし、2-0の完封勝利に貢献した。浦和は優勝した06年度大会以来の天皇杯2勝。

 鈴木は込み上げる喜びを胸にとどめ、夢中でボールを追った。8月14日名古屋戦のウオーミングアップで負傷して以来、実に公式戦10試合ぶりのピッチだった。「早くチームの力になりたいと思っていた」。途中出場から1分後の後半30分、ボランチから攻撃参加。同32分にも前線でパス攻撃の起点となり、シュートチャンスを演出した。

 自身の離脱と阿部のレスター移籍が重なり、浦和は来季ACL出場権獲得へ厳しい戦いの最中で、ボランチ不足に陥った。主将としての責任を感じながら、走り込みを続け「今の僕にできることをやる」と積極的にクラブイベントに参加してファンと交流を図った。復帰への思いは、来季いっぱいまで改修工事のため使用できない「聖地・駒場」での最終戦でかなった。

 FWエジミウソンのPKとオウンゴールで徳島を突き放し、4回戦進出を決めた浦和。16日のリーグ戦では、ACL出場権争いのライバルC大阪と対戦する。鈴木は「試合に出ている選手にいい意味でプレッシャーを与えられれば」と次なる目標を見据えた。【山下健二郎】