<J1:新潟2-2G大阪>◇第32節◇19日◇東北電ス

 G大阪が執念ドローで逆転優勝への望みをつないだ。途中出場の大卒新人FW川西翔太(23)が残り13分間で2得点。2点を追いかける苦しい展開ながら、不屈の闘志で引き分けに持ち込んだ。2位から3位に転落したG大阪だが、4連勝で暫定首位に浮上した名古屋とは勝ち点1差。1試合多く残す同2位柏を含め、3強によるV争いは大詰めを迎えた。

 冷たい雨が容赦なく選手の体を打った。僅差で王座を争う終盤戦で、勝利を逃したのは痛恨だった。西野監督は感情をむき出しにして帽子を地面にたたき付け、選手はピッチに崩れ落ちた。だが、まだ逆転優勝の可能性は残されている。後半30分すぎまで2点リードを許し、敗戦の気配すら漂っていた。そこから執念の逆襲劇で、辛うじて同点に持ち込んだ。希望の光は、消さずに済んだ。

 「負けへん。その気持ちが大事だと思う。諦めたらアカン。(優勝の)可能性を消したらアカン。勝ちたかったですけど、負けてはいないので。追いついたことをいい方向に考えます」

 殊勲の川西はコテコテの関西弁で、自分を納得させるように言った。後半32分に遠藤から佐々木とつないだボールを受け、反転しながらの強い弾道で1点を返した。6分後には自ら放ったシュートのこぼれ球を押し込んでついに同点だ。大体大時代は関西学生リーグの2部に所属。プロは夢のまた夢だったが、昨年9月の天皇杯でG大阪と対戦し西野監督の目の前で得点した。その一発でプロの道を手繰り寄せた。「諦めへん!」。不屈の闘志が残り13分で今度はチームをよみがえらせた。

 「雨やったので1点目はゴロで強く打てば入ると思った。2点目はうまくボールが転がってきてくれた。たまたま自分がそこにおって、決めただけです」。

 3位以内が確定し、現行ルールなら来季のACL出場が内定した。優勝戦線は暫定首位の名古屋と勝ち点1差。今日20日に柏が勝てば、残り2戦で同4差となる。あくまでも他力。厳しい状況は変わらない。それでも西野監督は「この(勝ち点)1ポイントを、みんなの執着心を生かしていきたい」ときっぱり。今季はACL、ナビスコ杯、天皇杯でV逸が決まった。リーグ戦は可能性がある限り、奇跡を信じるしかない。【益子浩一】