神戸の次期監督候補に、昨季までG大阪を率いた西野朗氏(57)が挙がっていることが28日、分かった。この日、チームは1-3で横浜に逆転負け。J2降格圏の16位G大阪と勝ち点2差の13位に低迷する。巻き返しに向け、J1通算最多239勝を挙げた大物監督をリストアップした。

 横浜戦後、神戸の叶屋宏一社長は取材に応じなかったが、この日までに西野氏本人が「話は間接的には聞いている」と神戸側から接触があったことを認めた。さらにJの複数の関係者も、神戸が西野氏招聘(しょうへい)に動いていることを明かした。今後、正式交渉を経てシーズン途中に電撃就任する可能性が出てきた。

 チームは21日のリーグ柏戦で公式戦7戦ぶりの勝利を挙げたものの、それ以前はナビスコ杯も含め6戦連続の完封負け。この日も先制しながら、後半26分から7分間で3連続失点を喫して横浜に今季初勝利を献上した。あくまで上位進出を狙うために、今後のチーム状況を見極めた上で監督交代に踏み切ることになる。

 交渉がうまく進めば、西野氏にとっては初のシーズン途中での監督就任になる。02年から昨季まで、Jリーグの同一クラブを率いた指揮官では最長となる10年の長期政権をG大阪で務めてきた西野氏は「途中からクラブを率いたことはないけれど、周囲が思うほど拒絶反応を示すものではない。3カ月以上も(監督業を)休むと、窮屈だからね」と前向きな姿勢を示した。

 一方でクラブ側は一昨年に途中就任の難しい状況からチームをJ1残留に導いた和田昌裕監督の功績も高く評価している。西野氏招聘に成功した場合でも、強化部に経験ある人材が少ないため、和田監督を強化部長などの職に復帰させる可能性が高い。

 西野氏は関西での生活を気に入っており、就任への障害は少ないとみられる。一方で08年にG大阪でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制したことで、国際大会には強いこだわりを持っており、クラブ側とのビジョンと合致するかどうかが焦点になる。今後の補強、さらに年俸1億円超といわれる金銭面で、歩み寄ることができれば「西野神戸」の誕生が現実になる。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉・浦和(現さいたま)市生まれ。浦和西高、早大を経て日立(現柏)入り。大学時代から主に攻撃的MFで日本代表入り。96年アトランタ五輪では中田英寿らを擁する五輪代表を率いて、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こした。98年から柏監督就任。02年からG大阪監督に就任して05年Jリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACLを制覇。09年度には天皇杯連覇を達成した。08年AFC最優秀監督。J1通算239勝(69分け129敗)は最多勝記録。昨年限りでG大阪監督を退任。