<J1:磐田2-1G大阪>◇第34節◇1日◇ヤマハ

 J2に降格したG大阪の日本代表MF遠藤保仁(32)が、来季も残留する意向を示した。最終節磐田戦は敗戦。93年のJリーグ元年から1度も降格したことのなかった関西の名門が、最悪の事態を迎えた。14年末まで契約を残す遠藤は「(チームに)残ります」と明かした。一方で、親会社パナソニックの経営が悪化していることで、クラブは大幅に運営費を削減する可能性もあり、残留が正式決定するのは、今後の交渉次第になる。

 現実を受け止めるまで、時間がかかった。遠藤は試合が終わると、真っ先にピッチから消えた。涙も出てこない。大観衆から湧き起こる悲鳴と、罵声だけが、やけに静かなロッカー室まで届いてきた。優勝候補に挙げられながらまさかのJ2降格。気持ちを整理して取材エリアに現れると、来季に向け言葉をつないだ。

 「(チームに)残ります。基本的に2014年まで契約が残っているので、移籍するには違約金がかかる。ここでやりたいと思う」

 14年W杯ブラジル大会の前年となる来季は、W杯メンバー入りへの大事な年だ。レベルが下がり、代表期間中もリーグ戦の中断のないJ2でプレーするのは、大きなリスクになる。それでも基本的には、チームに残留する意向を示した。

 ただしJ2に降格したことで、G大阪の運営費が削減されるのは確実だ。選手総年俸(人件費)は、Jでも最高レベルの約20億円。それも大幅に減れば、年俸1億5000万円の遠藤、同1億円(推定)のDF今野らを保有できなくなる。その場合は、レンタルなどで、他クラブへ移籍する道を探るしかない。遠藤は、こうも続けた。

 「今後、どうなるかは分からない。移籍するのか、残るのか、そういう考えにもならない。まだ今シーズンは残っているので。周りは(移籍に関して)騒ぐでしょうけれど、天皇杯に集中したいと思います。後は代理人に聞いてください」

 現役日本代表の遠藤、今野だけでなく、他クラブが欲しがる選手は大勢いる。加地、明神主将らは今季限りで契約が切れる。クラブ側との交渉次第では、大量流出につながる。遠藤の去就について、金森社長は「もう少し時間をください。今は、何も考えられない。どうするか、分からない」と曖昧な答えに終始した。

 遠藤に加え、加地も「契約(継続)の話をもらえれば、考えたい。1年でJ1に帰ってくるのが理想」と残留の意向を示した。今野は去就については触れず「力が足りないから降格になってしまった。自分の力不足」。マジョルカから期限付き移籍中の家長は「今の段階で(去就は)決まりません」と話すにとどめた。

 一部の主力選手が残留の意向を示しはしたものの、まさかの降格に、クラブ側の来季方針は不透明なまま。14年度末に万博敷地内に完成予定の新スタジアム建設も、停滞することが濃厚だ。1年でJ1復帰できるのか-。かつて経験したことのない、厳しい年末を迎える。【益子浩一】

 ▼今季リーグ最多67得点のG大阪が17位でJ2に降格。年間リーグ最多得点チームのJ2降格は史上初の珍事。JリーグがJ1とJ2に分かれた99年以降、リーグ最多得点チームの過去最低順位は99年C大阪の6位で、2ケタ順位も今季のG大阪が初。また、得失点差はプラス2で、同差がプラスでのJ2降格も初。

 ◆ガンバ大阪

 1980年(昭55)松下電器として創部。86年日本リーグ1部に昇格、90年度に天皇杯を初制覇。92年パナソニックガンバ大阪に改称、93年J元年から参入。J加盟後の主な国内タイトルは、リーグ制覇(05年)ナビスコ杯制覇(07年)天皇杯制覇2度(08、09年度)。08年にはACLを初制覇し、クラブW杯に出場。準決勝で欧州王者のマンチェスターUに3-5の激闘を演じ、アジア屈指の強豪と呼ばれた。ホームタウンは大阪府吹田、茨木、高槻、豊中市。本拠地は万博記念競技場。

 ◆J2所属の日本代表選手

 現行通りだと試合数はJ1の34試合から42試合に増加。しかもJ2は日本代表への国際Aマッチや合宿期間でもリーグ戦が行われる場合が多く、遠藤がJ2所属だとG大阪の公式戦を離れる必要がある。さらにJ2は大都市部だけでなく、全国各地をアウェーで飛び回ることで体力的負担は増える。物理的に代表とJ2の試合に出られる日程であっても、クラブ側が選手の休養を優先させる事態もありうる。来年はW杯前年でコンフェデレーションズ杯もある。