<J1昇格プレーオフ:磐田1-2山形>◇準決勝◇11月30日◇ヤマハ

 磐田の1年でのJ1復帰は、悪夢のような幕切れで絶たれた。1-1で迎えた後半ロスタイム。引き分けでも決勝進出の中、後は守りきるだけだった。しかし、CKで前線に上がってきた相手GKに頭で決められ勝ち越しを許した。

 現実離れした結末に、名波浩監督(42)は「内容を振り返るだけのメンタリティーではない」と肩を落とし「奇跡を呼ぶ力が山形にはあって、僕らにはなかったということだと思う」と潔く負けを認めた。今週の紅白戦では最後の5分で高い位置でキープする練習も重ねていた。最後の交代カードも攻撃選手を投入し、攻める姿勢を見せた。だが10月19日の熊本戦から6試合勝利がない磐田に、山形の勢いを止める力は残っていなかった。1度も逆転勝利をもぎ取れなかった今季を、象徴するような最後だった。

 名波監督は9月末に就任後、2勝5分け3敗で今季を終えた。現有戦力で戦うしかない厳しい環境だったが、J1復帰を果たせず「責任は自分にある」と言い訳はしなかった。事実上、選手の補強を含め名波監督の色を出せるのは来季からだ。既に補強ポイントとなるGK、センターバック、FWの新外国人選手獲得に向け動き始めている。中盤でも上田康太(岡山)、山本康裕(新潟)と磐田ユース出身の選手復帰を目指している。また、磐田ユースを含め4人の高校ルーキーと大卒選手1人の選手加入も発表されており、同時にチームの若返りを図っていくことになる。名波監督の下、もう1度J2の舞台で基礎からチームをつくり直し、強いジュビロ復活を目指すしかない。【岩田千代巳】