<J1:浦和1-2名古屋>◇最終節◇6日◇埼玉

 浦和は名古屋によもやの逆転負けを喫し、2位に終わった。前半2分にDF槙野智章(27)のゴールで先制するも、腰の引けた戦い方で急失速。後半27分、同44分にゴールを許す必然の結果に終わった。残り3試合で2敗1分け。昨季の3連敗と同じような尻すぼみで、みすみす優勝を逃した。

 あきれるほどの勝負弱さだった。絶好の出だしから、優勝が視野に入った中盤、そして最後は最悪の幕切れ。今シーズン全体を象徴するかのような90分だった。最後はまさに自滅。G大阪に9年ぶりの優勝をみすみす献上した。

 王者になるには、ふさわしくない試合運びだった。前半2分にDF槙野がCKを頭で合わせて先制した。だが、そこからDFラインは下がるばかりで、ボールをキープしてもバックパス。前半だけでポスト、バー、相手のファウルに助けられたシーンが3度。後半にもオフサイドで名古屋のゴールが取り消された。守備重視という聞こえのいい言葉は、ピッチ上では腰の引けたサッカーとなった。最悪の内容に勝利の女神もほほ笑むはずがなかった。

 ペトロビッチ監督は会見で、苦笑いさえ浮かべながら「前半の早い時間に1点リードして、チームは落ち着いて進められた。だが少しプレーが怖がりながらだった」。試合後には大ブーイングが飛んだことに「この結果でブーイングされるのは残念だ」と言った。

 前々節のG大阪戦では後半43分、前節の鳥栖戦では後半49分、そしてこの日の後半44分にも、同じ光景が繰り返された。大事な終盤に失点してしまう、勝負弱いチームの典型だった。MF柏木は「持ってないやられ方。涙も出ない」とうつむいた。今季は10節から16節まで7試合連続無失点。崩されることのない堅守が遠い昔のようだった。

 シーズン前のキャンプからテーマは「守備」だった。ある練習試合の前に指揮官は「今日は失点したら罰金だ」と冗談半分に言った。だが守備戦術の指導はなく、一部の選手は「罰金というなら守備の戦術を教えてくれ」と返した。結局は、最後まで守備は運と西川に任せきり。槙野、那須、森脇の日本代表経験者が、攻め上がることなく守備をすれば、それなりの結果が出るのは当然だった。

 槙野が言う。「このチームはオフでも一緒にいるくらい仲がいい。でもただの仲良しクラブではダメ。厳しく受け止めなければならない」。昨季の6位から2位となり前向きと捉えるのか、それとも残念な2位と捉えるのか。ただ戦力を補強しただけでは、来季の結末も見えている。【高橋悟史】