<J1:徳島0-0G大阪>◇最終節◇6日◇鳴門大塚

 今季2冠目を達成したG大阪の長谷川健太監督(49)に、日本代表監督就任の期待が膨らんだ。ナビスコ杯に続きリーグも制覇。天皇杯・決勝山形戦(13日、日産ス)も勝てば、日本人監督初の3冠を達成する。既に来季続投は内定。G大阪の野呂輝久社長は「理想はガンバから代表監督が出ること」。18年W杯ロシア大会後にも「健太ジャパン」誕生を推薦した。

 優勝を手にするその瞬間まで、長谷川監督は冷静だった。0-0の後半44分。片野坂ヘッドコーチから伝言を受けた。「浦和が負けています」。4分の長いロスタイム。様子を見ながら残り1分まで、選手に他会場の結果を伝えなかった。

 長谷川監督

 早く伝えると逆に難しくなる。もちろん攻めに行かせながら。でも丹羽も今野もガンガン上がっていたから、カウンターを浴びて負けるわけにはいかない。それで(残り1分で)伝えました。

 G大阪に第2次黄金時代を到来させた。08年にACLで頂点に立ちながら、12年にJ2降格した名門を昨季から引き受けた。就任1年目でJ1復帰を果たすと、J1復帰初年度でリーグ制覇へ導いた。

 見事な手綱さばきに、野呂社長は「ガンバから代表選手を出しているように、代表監督も任せられることが理想」と野心を膨らませる。続投が内定している長谷川監督は来季が3年目。松下電器(現パナソニック)出身の同社長は「企業のトップが4~5年かけて経営戦略を練るのと一緒で、監督にもそれくらいの期間は必要」と最低でも中期政権を約束。その後の代表監督に“推薦”した。

 11年まで10年間率いて第1次黄金時代を築いた西野監督(現名古屋)にも、当時日本代表を率いたオシム氏が病に倒れた07年末に後任としてオファーが届いている。梶居強化本部長は「西野さんの時は、クラブとして出せないという結論でした。チームが結果を残せば代表監督に名前が挙がる。タイミングさえ合えば、ガンバから日の丸を任せる監督が出るのはいいこと」と明かした。

 1週間後の天皇杯決勝も制すれば、日本人監督初の3冠をつかむ。

 長谷川監督

 (05年の)優勝経験を味わっていない選手がたくさんいた。かつて西の横綱といわれたチーム。今回の優勝は、ガンバのプライドを意識して、さらに上を目指すための、いい結果になった。

 来季はリーグ2連覇、さらには08年以来のACL制覇という高い目標がある。数々のタイトルを手にした先に「健太ジャパン」誕生の日が、訪れる。【益子浩一】

 ◆長谷川健太(はせがわ・けんた)1965年(昭40)9月25日、静岡県生まれ。現役時代は主に清水で活躍、日本代表FWとして93年W杯予選「ドーハの悲劇」も経験。J1監督は清水で05~10年まで6季務めて、13年からJ2だったG大阪に就任。

 ◆ガンバ大阪

 前身は松下電器でJリーグは創設時から加盟。05年J1初制覇。12年にJ1で17位に終わり、J2降格したが1年で復帰。GAMBAはイタリア語で「脚」を意味し、「頑張る」にも通じる。本拠は万博記念競技場