どちらに勝敗が転んでもおかしくない試合は、終盤の1プレーでオランダがものにした。
0-0の後半39分。オランダが左寄りでパスをつなぐ。ペナルティーエリア(PE)左から、左45度の位置にいたバルセロナMFのF・デヨングへボールを落とした。
この時点でセネガルはPE内にDFが4枚、その前には左側に2枚、中央にも2枚。計8枚でほぼボール前は固められていた。
対するオランダはPE内に4枚いるが、1枚は右寄りで、実質3人の攻撃陣が4人のDFと対抗する3対4の状況にも見えていた。ただ、この右寄りにいた「1枚」がカギだった。
セネガルから見れば右側。DF陣はボールを受けたオランダのF・デヨングを見る形になり、全員の視線が右を向く。
そこへ、ほぼ直接的にはゴールに関わらないようにも見えていた、反対側にいたはずの「1枚」のFWハクポ(PSV)が、ダイアゴナル(斜め、対角線)でゴール前へと走り込んできたのである。
セネガルのDF陣からすれば死角となり、マークに付くのが遅れた。
そこへ、F・デヨングが相手GKの目の前、届くか届かないかという絶妙のタイミングでクロスを上げる。
これぞ、あうんの呼吸。
セネガルGKのE・メンディ(チェルシー)との競り合いで先に頭でボールを触ったのはハクポだった。
ファーサイドへボールが吸い込まれる。
時間にすれば2秒半。
この一瞬の判断で先制点が生まれ、得点を取りに行かざるを得なくなったセネガルは後半ロスタイムにもカウンターから追加点を許した。
ボール支配率はほぼ互角。シュート数はオランダの10に対し、セネガルは15本。
点差以上に見応えのある試合だった。