東京五輪の得点王が初のW杯でもやってくれた。ブラジル代表FWリシャルリソン(25=トットナム)がセルビア戦に先発。0-0の後半17分、ビニシウスのシュートのはね返りを右足で押し込むと、同28分にスーパーゴールを決めた。

「チチ監督からは得点への嗅覚があると言われている。それを発揮できた」

ビニシウスの左からの折り返しを、ゴールに背を向けた状態で左足トラップ。宙に浮いたボールを強烈な右足バイシクルシュートでゴール左にたたき込んだ。試合後には「子供のころの夢がかなった。フットボールよありがとう」とツイッターに書き込んだ。

麻薬はびこるエスピリトサント州ノバベネシア生まれ。5人兄弟の長男で、いつも誰かがおなかをすかして眠りにつく幼少期だったという。10代になったリシャルリソンはビッグクラブのセレクションに落ち続け、17歳の時に自宅から600キロ離れたベロ・オリゾンテでのアメリカFCの入団テストに、友人からスパイクを借り、帰りのバス代を持たずに参加。その「最後のチャンス」で拾われた。

そこからはドラマのサクセスストーリーのように、フルミネンセ→ワトフォード→エバートン→トットナムとステップアップ。代表は18年9月にデビュー。以来、だれよりも多い19ゴールを決めてきた。

この日の勝利でブラジルはW杯初戦で20試合連続無敗(17勝3分け)。最後に敗れたのは第2回大会の1934年イタリア大会・スペイン戦(1-3)までさかのぼる。W杯メンバーに選ばれ号泣したリシャルリソンは、輝かしいセレソンの歴史に名を刻んだ。