日本サッカー協会が、日本代表の森保一監督(54)に水面下で続投意思を確認したことが7日、分かった。日本はFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦の末に敗れた。その後、開催地のカタールで日本協会の田嶋幸三会長(65)が同監督と2年間の契約延長などについて話をした。森保監督も続投に前向きな考えを示しており、早ければ年内、遅くとも1月中には続投が正式に決まり、発表される。この日、森保監督と一部選手が帰国した。

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トップの決断は早かった。日本協会の田嶋会長は5日のクロアチア戦後、森保監督と契約延長について話をした。ひとまず期間は2年を提示した模様。ただ、次回の26年W杯米国・カナダ・メキシコ大会までのさらに2年の契約延長を基本線にしており、実質は4年契約となる。

目標の日本代表史上初のベスト8は達成できなかったが、「死の組」と呼ばれた1次リーグE組で、優勝経験のあるドイツ、スペインを撃破して首位突破。強豪との2戦では、後半に投入した堂安、三笘らが流れを変え、逆転につなげ、采配で勝った。ベスト8を懸けたクロアチア戦でも先制し、前回大会準優勝国と互角の戦いができた。大胆で積極的な采配は今後に向けて大きな可能性を示した。その手腕はもちろん、相手の分析、さらに選手を戦う集団にまとめ上げた求心力も高く評価したようだ。

田嶋会長は大会前から森保監督への全幅の信頼を口にしていた。アジア最終予選を含めて、大会直前まで森保監督の手腕を疑問視する声もあった。それでも同会長は、「批判はオレが受け止めればいい」と、全面的に擁護する姿勢を見せてきた。さらに「意思統一のために(通訳を介すことの多い)外国人ではなく、日本人監督がいいという考えもあるけれど、オレは森保だからいいと思っている」などと語っていた。

17年10月に東京五輪代表監督に就任。18年7月からはA代表も率い、4位になった21年8月の東京五輪までは、兼任で両チームを指揮した。日本協会には、長期的な視野に立った強化を継続したいとの思惑もある。欧州の強豪イタリアは3月のW杯予選で敗退したが、昨年の欧州選手権を制したマンチーニ監督を続投させている。田嶋会長は「いい監督だとの確信、信頼があるなら、仮にすぐにいい成績が残せなかったとしても、続投させる考えがあっていい」と持論を口にしていた。

森保監督はクロアチア戦から一夜明けた6日には「代表というすばらしい環境で監督をさせてもらい、成長させてもらった。もっともっと成長したい思いと、日本サッカーに貢献したい思いはある」などと話しており、続投への支障はない。

日本協会は「05年宣言」として「50年までにW杯優勝」という大目標を掲げている。その実現のためにも、森保監督のW杯の経験は貴重な財産。年俸も1億5000万円(推定)から5000万円増の2億円を提示する案がある。早ければ今月、遅くても来年1月には正式決定する見込み。来年3月の国際親善試合2試合で活動を再スタートさせる。4年後も森保監督とともに-。日本サッカー界が思い描く、ベスト8以上の「新しい景色」への挑戦を、森保ジャパンが続けていく。

◆長期政権 ドイツ代表のレーウ前監督が06年W杯ドイツ大会後に就任し、21年欧州選手権まで何と約15年にわたって強豪を率いた。14年W杯ブラジル大会を制すなど、結果を残した。大会2連覇を目指すフランス代表のデシャン監督も、12年7月の就任から在任約10年。ウルグアイ代表を長年率いたタバレス前監督は88~90年、06~21年まで通算約17年と記録的な在任期間を誇る。