読者のみなさんは道で500円玉を拾ったらどうするだろうか。筆者だったら周囲を見回し、だれも見ていないのを確認した後、そっとポケットにしまい込むかもしれない。

 ハダースフィールド・ファンの少年、アダム・バーナくんはそうはしなかった。

 複数の英メディアによるとアダムくんは21日、ハダースフィールドの本拠地ジョン・スミスズ・スタジアムでおこなわれたマンチェスター・ユナイテッド戦を観戦。愛するハダースフィールドが2-1でマンUを下す番狂わせをしっかりと目に焼き付けた。

 ハダースフィールドがマンUにリーグ戦で勝利するのは1952年以来、実に65年ぶりの“快挙”だった。

 それを生で見ることができただけでもラッキーだが、アダムくんにはさらに幸運が待っていた。

 少年はスタジアムで偶然5ポンド(約767円)紙幣を拾った。日頃から「人のものを拾ったら、もらってはいけないよ」と教えられてきたというアダムくんは「5ポンドをもらうべき人」についての名案を思い付いた。

 自宅へ戻るとハダースフィールドのディレクター、ショーン・ジャービス氏あてに手紙を書いた。ノートに鉛筆で書かれたメッセージには「僕はスタジアムで5ポンド紙幣を見つけました。ワグナー監督に、ムーイ選手にその5ポンド紙幣をあげてもいいか聞いてくれませんか? 彼はすごく良いプレーをしたので。この封筒にお金を同封します」と記されていた。

 オーストラリア代表MFのムーイはこの試合、先制ゴールを決めるなど活躍。勝利の立役者となった。アダムくんはそんなムーイに対し、5ポンド紙幣をプレゼントして祝福したかったのだという。

 ジャービス・ディレクターは「若いアダムの素晴らしい振る舞いだ」とツイッターに手紙の写真を投稿。ムーイ本人も感激し「アダム、君に会いたいな」とスタジアムでの面会を約束した。

 筆者のようにさっさと拾ったお金をもらってしまうような人間であれば、このような幸運には巡り合わなかっただろう。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)