バルセロナを退団したアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(34)がフランス1部パリ・サンジェルマンに入団し、喜んでいるのは同クラブ関係者だけではない。あの「バスケットボールの神様」マイケル・ジョーダン氏(58)もうれしく思っているに違いない。

ジョーダン氏といえば、現役時代はブルズで6度もNBAを制覇。そのシーズンすべてでファイナルでのMVPに輝くなど、数え切れないほどの個人タイトルも獲得してきた。さらに引退後は実業家としても成功。現在、NBAホーネッツのオーナーを務め、街を歩けば「ジョーダン」ブランドのスニーカーやウエアを身に着けている若者をいたるところで見ることができる。

「ジョーダン」はナイキ社のサブブランドの1つだが、18年にパリSGとスポンサー契約。あのジャンプマンと呼ばれるジョーダン氏のマークが入ったユニホームが売れるたびに、売り上げの5%が同氏の懐に入ることになっている。

メッシが着用するパリSGの背番号30のユニホームは、同FWの入団発表時から「バカ売れ状態」。複数の海外メディアによると最初の7分間だけで15万着が飛ぶように売れ、現在までにすでに1000万ドル(約11億円)以上のお金がジョーダン氏の財布に入る計算になるという。

実業家として成功しているジョーダン氏だが、多くのビジネスマン同様、新型コロナウイルスの影響は確実に受けている。フォーブス電子版によると20年4月に21億ドル(約2310億円)あった純資産も、今年4月までに16億ドル(約1760億円)に目減りしてしまったという。

さすがに550億円は簡単には穴埋めできないが、このままメッシのユニホームが売れ続ければ、コロナ禍で受けたダメージを相当に癒やすことができるのではないだろうか。

パリSGのアルケライフィ会長は「メッシを獲得することによってクラブの財政基盤は揺るがないのか?」という質問に対し「メッシはクラブの財産。放映権、ユニホーム… 彼によってもたらされる収入を発表したらたぶんみんなショックを受けると思う」と自信満々に話している。その言葉通り、まずはバスケットボールの神様が、世界最高のサッカー選手がパリSGに入団した恩恵を受ける形になった。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

ジョーダン ブランド誕生30周年記念スペース「MUSEUM 23 TOKYO」オープニングイベントでマイケル・ジョーダンはブランドデザインについて参加者と語る(2015年10月15日撮影)
ジョーダン ブランド誕生30周年記念スペース「MUSEUM 23 TOKYO」オープニングイベントでマイケル・ジョーダンはブランドデザインについて参加者と語る(2015年10月15日撮影)