バイエルン・ミュンヘンが23日、ドルトムントとの「デア・クラシカー(ドイツ版クラシコ)」を3-1で制し、前人未到のブンデスリーガ10連覇を達成した。

エースのレバンドフスキが今季33点目を挙げ、19歳のムシアラもダメ押しゴールで貢献。あらためてバイエルンの強さを示した一戦となった。

10連覇を達成したバイエルン・ミュンヘンの選手ら(AP)
10連覇を達成したバイエルン・ミュンヘンの選手ら(AP)

だが筆者が最もいいなと思ったのは試合後のビールかけ。日本のプロ野球などのように場所を移して行われるのではなく、試合終了後すぐにピッチ上で行われ、選手とスタンドのファンが喜びを分かち合った。

うれしさを爆発させたミュラーは特大のビールグラスを手に、テレビの解説でスタジアムを訪れていたOBの元ドイツ代表MFシュバインシュタイガー氏を背後から急襲。同氏に大量のビールをぶちまけて、してやったりの大笑いを見せた。就任1年目で自身初のリーグ制覇を達成したナーゲルスマン監督も全身びしょびしょになりながら、歓喜の表情を浮かべた。

ビールかけで勝利を祝うバイエルンのベンジャマン・パヴァール(左)とトーマス・ミュラー(AP)
ビールかけで勝利を祝うバイエルンのベンジャマン・パヴァール(左)とトーマス・ミュラー(AP)
選手たちとビールを掛け合うバイエルンのユリアン・ナーゲルスマン監督(AP)
選手たちとビールを掛け合うバイエルンのユリアン・ナーゲルスマン監督(AP)

ビールかけは「weissbier shower」と呼ばれ、例年どおりクラブのパートナーであるパウラナー社のweissbier(ヴァイスビア)が使われた。ヴァイスビアは小麦を多く使って醸造された地元名産の白ビールで、このビールが見るからにおいしそうなのだ。しかもビールを運んできてくれるのはドイツの伝統衣装を身にまとった女性たち。ほとんどオクトーバーフェスト(10月にミュンヘンで開催されるビール祭り)のノリで選手も関係者もファンも楽しんでいた。

筆者は野球部に所属していた大学時代に初めてビールかけを経験。社会人になってからは、記者として何度もプロ野球のビールかけを取材し、米大リーグの「シャンパンファイト(シャンパンかけ)」にも立ち会った。

だがそれらはあくまで選手たちのためのもの。彼らが楽しめればいいという雰囲気だった。しかしバイエルンのビールかけは関係者やファンも喜びを分かち合えるもの。ファンサービスの一環としても素晴らしい「イベント」になっていた。

もし日本のクラブが同様のビールかけを導入した場合、スタンドにいる未成年のファンにビールがかかってしまったら? などと懸念する声が出てくるかもしれない。しかし心配には及ばない。バイエルンのビールかけで使用されたヴァイスビアはすべてノンアルコールだからだ。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

ビールかけで勝利を祝うバイエルンの選手たち(AP)
ビールかけで勝利を祝うバイエルンの選手たち(AP)
ビールかけで勝利を祝うバイエルンの選手たち(AP)
ビールかけで勝利を祝うバイエルンの選手たち(AP)