過去110年間の観測史上最大の大雨が、6月29日から翌30日にかけてベルリンを襲った。


 ベルリン市内の年間平均降水量は、1平方メートルあたり約580リットル。しかし大衆紙「ビルト」によると、今回の局地的豪雨により、ベルリン北西部ではその3分の1にあたる約200リットルが、たった18時間で記録されたという。そのため同市内の道路はまるで川のように水が流れ、公共交通機関や飛行機も全面的にマヒ。30日昼に解除されたものの、一時は非常事態宣言も発令されるなど、ドイツの首都は大混乱に見舞われていた。


 大変だったのは、被害に遭われた人だけでなく、水害時のレスキュー業務も担当する消防士たち。同紙によれば、ベルリンを飲みこんだこの大雨により、消防隊の出動箇所は計1750にまで上ったという。


 すると、同都市を本拠地とするヘルタは6月30日の朝、クラブ公式ツイッターを通じ、彼らへ向けてこんなメッセージを送った。


 「親愛なるベルリンの消防士のみなさん。あなたたちは昨晩、ベルリンのために全力を尽くしてくれました。(7月29日にクラブ創設125周年を記念してオリンピア・シュタディオンで行われる)リバプールとの練習試合に、あなたたちを招待します」


 ミヒャエル・プレーツSDはビルト紙の取材に対し、「このような悲惨な状況下では、町全体が一体となっていかなければならない。自ら志願して現場に出動してくれた消防士もいたようで、そんなみなさんに感謝の意を表したいんだ」と説明しており、クラブ事務所に併設されているファンショップで消防士の身分証を提示すれば、リバプール戦のチケットを無料でもらえるという。


 ヘルタの粋なはからいは、被害を最小限に食い止めるべく奮闘したヒーローたちにとって、きっと嬉しいプレゼントとなるはず。そして町の結束を強めるためにも、少なからず意味のあることだろう。


 「雨降って地固まる」とは、まさにこういうことを言うのかもしれない。